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第8回 ロシアピアノ奏法勉強会報告

「ロシアの子どもたちは幼い頃からプーシキンの詩を暗唱している」ので、
自然に《言葉が音になる!》、とのお話が心に残りました。

言語が音楽と分かち難く結びついているヨーロッパの言語に比べ、
日本語は抑揚が小さく言葉のフレーズ感も弱く、全てに母音が付くので
子音の強いアクセントがなくまたポキポキ切れて聴こえ、語尾もはっきりしません。
言葉の点では不利ですが、日本にも良い歌がたくさんあり、
四季の移ろいがはっきりした風土と日本人の繊細な感情を生かした、
音楽的に価値のある『スオミ』や『はじめの一歩』のような、
日本独自のピアノ教本がいつかできたらいいなあと思います。

さて、1本指のノンレガートから始めたロシア奏法による教本『はじめの一歩』の
レッスンも、いよいよ第3巻「スラーのかかった3つの音符~第1音に重心をおいて~」
に入りました。3つの音符のレガートで、第1・第2・第3音と順に重心をおき
系統立てて詳しく学ぶのは、初めての経験です。今回は116~121の5曲。

116と121では、f (強)とp (弱)の表情を変化させる練習をしました。
f では打鍵のスピードを速くp ではゆっくり入る。
p の《なでなでする》との古畑先生の表現が印象的です。
3拍子のこの2曲とも、左手3拍目から右手1拍目への旋律の橋渡し部分では、
「しっかり右手に渡し、左手からしっかりもらって」と、
2人で心を通わせて会話やダンスをしているようなイメージです。

117では、「伴奏の5度の響きの方をもっとよく聴いて」とのアドバイスで、
弾こうと意識し過ぎた旋律が、5度の響きの中から良いバランスで
自然に聴こえて来ました。8小節の素朴な曲でも(だからこそ)、
聴く(正しく聴く)ことがいかに大切かよくわかりました。
耳で聴こえない音は弾けないはずなのに、日本人は聴こえない音でも
弾けてしまう傾向にあるとのお話。
そのような演奏は聴く人の心に届かない。
自然で美しく心に沁みる演奏は 「指で弾くのでなく耳で弾く」

118では、4・6小節の2拍目裏拍は落とさずに、次の音へ向けて引き上げてから
5・7小節1拍目に落とします。いつもアウフタクトを意識し、「一音も!疎かにせず」、
どの音から来てどの音へどのように向かうのか?...を常に考えて弾かなければと、
あらためて気づかされました。

また、16分音符を2つ含むテンポの速い3つの音は、弾き過ぎないで押し込まないで、
小指をしっかり手の中に入れて第1関節だけで弾きます。

119のスタッカートはひとつひとつ切って弾かないで、
レガートで弾いてからその同じ位置でまとめて弾く。
フレーズの切れ目では小さな息(ちょっと吸う)を使う、などなど。

どの曲も「息を止めずに呼吸(歌うこと)を意識し、弾く前に息を吸い息を吐きながら
音を出す。たっぷりニュアンスをつけながら、とてもゆっくり練習して体の動きを覚え、
テンポアップした時は自然な体の動きだけで弾けるように!」

122は、今回の復習として練習しておくようにとの宿題です。

「演奏の基本は回外である」

小指でしっかりタッチして、親指の第1関節は力を抜く。肘を外に出さず脇は締める。
常に肩関節から垂れている腕。上腕の重さを利用しない手はない。
前腕は肘関節で支える。上半身は足で支える。

「回外から回すのと回外へ回すのと両方自由にできるようになったら、
しめたものです。」

ロシア奏法に出会ってから、「《表現したいことを実現するための具体的な方法》
が全ての音において存在する」のを知ったのは、大きな発見でした。

始めたばかりの小さな生徒さんから、長くピアノを弾いて来た大人の生徒さんまで、
できるところからいっしょに勉強しています。

次回のレッスンも楽しみしております。


参考文献~演奏法の3大重要書として~

(1) カール・フィリップ・エマニエル・バッハ『正しいクラヴィーア奏法』 (全音 2000年)
(2) レオポルド・モーツァルト『ヴァイオリン奏法』 (全音 1998年)
(3) ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ『フルート奏法試論』 (シンフォニア 2011年)

ご紹介下さいました「C・P・E・バッハの本(旧版)」などは、難しくて途中で挫折し
長い間本棚に飾ってありましたが、また手に取って熟読してみようと思います。


(T・H記)


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