2017年11月10日

【実施レポ】世界音楽事情第4回 ロシアピアニズムの魅力(奈良井巳城先生)

2017年9月25日(月)、日響楽器池下店2Fホールにて、奈良井巳城先生をお招きして、「世界音楽事情第4回 ロシアピアニズムの魅力」と題したセミナーが開催されました。

奈良井先生は、ロシアのモスクワ音楽院で研鑽を積まれた先生です。最初に、ロシアピアニズムの系譜、鍵盤楽器伝承の歴史と4大流派について。沢山の名だたる音楽家の顔写真を使って、裏話的な内容もはさみながら説明して下さいました。巨匠と言われるロシアの偉大なピアニストたち(リヒテル、ギレリス、ニコライエワ、アシュケナージなど)を遡っていくとリストにも繋がり、また、ジョン・フィールド、そしてクレメンティへとたどり着くということが、とても興味深かったです。

ピアノ演奏に必要なテクニックについても、ハノンやコルトーの練習曲を例に挙げながらお話しして下さいました。各指の独立、フレキシブルな親指、手首のしなやかさ、トレモロの時の腕の回転、関節をバネのように柔軟に使うことなど、時にはグッズも使いながら、理解しやすく伝えるための工夫も教えて頂き、すぐにレッスンで実践できる内容も沢山ありました。

そして、多彩な音色を作るための打鍵の仕組みについて、ピアノのメカニズムの図を見ながらわかりやすくお話し頂きました。タッチによって、ローラーやハンマージャック、ハンマーなどの動きが変わり、その事が倍音に影響して様々な音色となる。そしてその多彩な音色を作るセンスを磨くには、良い音色も良くない音色も沢山経験するのが大切ということも教えて頂きました。

それから、表現力豊かに仕上げるための工夫として、『言葉から学ぶフレーズ作り』のお話しもされました。 「おはよう」と「おにぎり」の"お"の発音を例に挙げられ、「おはよう」の"お"は、後にくる文字が柔らかい響き、「おにぎり」の"お"は、後にくる文字が固い響きであることから、同じ"お"でも発音が微妙に違う(調音結合)。このことと同じように考えて音楽のフレーズを作るという事が、とても心に残りました。

最後に、スクリャービンの詩曲Op.32-1の貴重な資料を見ながら、出版されている楽譜とスクリャービン自身の演奏(ピアノロールで記録したもの)を楽譜におこしたものとを弾き比べて違いを示してくださり、ルバートやアーティキュレーションの捉え方についてもお話し下さいました。先生のピアノの音はとても美しく、もっと聴いていたかったです。先生の語り口が自然で、あっと言う間に時間が過ぎていました。奈良井先生、盛り沢山の学びを頂き、本当にありがとうございました。

Rep:名古屋支部 赤松佳容子

【実施レポ】ロマン派表現の基礎はブルグミュラーにあり!「ブルグミュラー25の練習曲」指導法(石黒加須美先生)

2017年6月5日(月)、日響楽器池下店ホールにて石黒加須美先生をお招きし、 「ロマン派表現の基礎はブルグミュラーにあり!「ブルグミュラー25の練習曲」指導法」という題で、上半期ピアノ指導法シリーズセミナーの第4回が開催されました。
 
「導入期の音楽教育法」や「親学」などでは、すでに第一人者として定評のある石黒先生ですが、この日は、ピアニストである、長女の石黒美有さんとの共著、「ブルグミュラー25の練習曲 ロマン派の作品の指導法(別冊解説書付き)」をもとに、解説をしていただきました。
講座の前半は音楽の基礎知識を中心に、後半はそれぞれの曲のポイントを、美有先生のピアノ演奏と共に進められました。
曲集として使われることの多いブルグミュラーですが、本来は練習曲で、ピアノに必要なテクニックや表現方法が凝縮されています。ブルグミュラー(1806年生)の生きた時代は(ショパン、シューマンは1810年生)まさにロマン派で、一般市民も音楽を楽しむようになり、愛や恋のように呼吸や心の揺れをブルグミュラーも大切に表現しました。




◆基礎知識より

  1. テトラコードとは4つの音、スケールを形作るもの。音程は、全音全音半音になっていて、2つつなげたものが長音階。後半のテトラから2つつなげてできるのが属調(♯系は輝き、元気)。前半のテトラから下へ2つつなげてできるのが下属調(♭系は柔らかい、ほっとする)。
  2. 平行調は同じ調号で弾くので、同じ人が楽しんだり悲しんだりする。同主調は調号が違うので、違う人が悲しむ、というようにとらえるとよい。
  3. (主和音)はお母さん。家。?(属和音)はお父さん。外へでる。緊張感。家に帰る。(下属和音)はこども。彩り。お父さんより早く家に帰る。
  4. 借用和音(ドッペルドミナントや準固有和音など)
  5. その和音だけで香らせる。感情の揺れを表現する。ブルグミュラーはたくさん使っている。
  6. ビート ターナリ―ビート(付点四分音符ビート)は馬の歩行。8分の6拍子など。(9狩りや23かえりみち)バイナリービート(四分音符ビート)は2足歩行.。4分の4拍子など。
  7. タッチ 指のどこを使うか、鍵盤にどのようにタッチするか、その方向やスピードによって、音色がものすごく変わる。




各曲の説明より  ごく一部を紹介します。

1 素直な心
cresc.dim.と松葉記号のクレッシェンド、デクレッシェンドの違い
cresc.dim.はそのとおり音の大きさを変える。それに対し松葉記号は歌ってほしいところに書いてある。

2 アラベスク
冒頭の和音のテンポを安定させるために、補足リズムを使う。うら拍に先生または生徒の右手で叩く音を入れる。次第に音無しでも意識できるようになる。
休符の役割  8分音符のところに音を入れてみて、違いを体感させる。

3 タランテラ
以前から毒グモ(タランチュラ)に刺された人が狂ったように踊るおどりと 言われてきたが、タンバリンや鈴を持って輪になって踊るおどり。子守歌になっているタランテラもあるそう。
どの曲も指導者は五線譜にスケールと和音をスラスラ書いて説明できるように。指導者がまず、理論や分析からその曲の明確なイメージを持つように。
長年の指導経験とコンクールの審査員、ステップのアドバイザーをされてきた石黒先生ならではの、指導への情熱がひしひしと感じられ、小学生にもわかるようにと工夫されたお話は、スーッと心に入ってくるようで、美有先生のピアノがまた素敵で、楽しい講座となりました。シリーズとしてじっくり時間をかけた講座をぜひ、と思いました。


Rep:森崎一子

2017年6月 9日

ドビュッシーピアノレクチャー 子供の領分(全曲)

第3回名古屋支部上半期指導法セミナーに中井正子先生をお招きして、2017年5月15日(月)日響楽器名古屋池下店2Fホールにて「ドビュッシーピアノレクチャー 子供の領分(全曲)」が開催されました。
中井先生はパリで長年音楽活動をされたフランス音楽の著名なスペシャリストでいらっしゃいます。この講座ではドビュッシーの「子供の領分」を題材に、フランス的な音色に近づくための重要な事柄やテクニックを、ドビュッシーのエピソードなどを交えながら、素晴らしい演奏とお話でご指導して頂きました。
先生は、「ドビュッシーの作品には二つの背景があり、一つには12年間在籍したパリ国立高等音楽院で受けたアカデミックな教育、もう一つは上流階級のサロンでの優雅さへの憧れがある。」とお話しされました。ドビュッシーの作品を演奏するためにはまずは正しい楽譜が大切であり、更に楽譜上に書かれた全ての情報を見落とさないよう、忠実に表現することが最も重要であると強調されました。強弱、テンポ、アーティキュレーションはもとより、例えば弱音の中での強弱の違いを5段階に分けて表示されていることなど、細部にわたって楽譜を読むことの大切さを再認識させられました。そしてそれらを表現するにあたり、ハーフ・タッチやハーフ・ペダルのテクニックが必要不可欠で、それらがフランス的なセンスのある音色、つまり多声部のバランスから作られる「和声的な音色」になるのだということが、先生の演奏からよく理解することができました。
しかしながら、それらの実現は本当に難しいものですが、中井先生の書かれた楽譜にはフランス語による楽語の明確な訳や、演奏者にとって使いやすい指使いや解かりやすいペダリングの表示などがあり、学習者の大きな手助けになると実感しました。
「子供の領分」の各曲は、ドビュッシーの愛娘への愛情溢れるユーモアもたっぷりの作品で、コンペの課題曲などにも取り上げられる機会の多い曲集です。その指導に当たるには、非常に厳格な読譜と、その上に成り立っているセンスある演奏のためのテクニックを駆使されて作り上げられる優雅な音楽だということを、私たち指導者は熟知していなくてはならないと強く思いました。
中井先生、素晴らしい講座をどうもありがとうございました。

Rep:ピティナ名古屋支部 野原 眞由美

2017年5月24日

【実施レポ】楽譜の向こう側 ─独創的な演奏表現を目指して─(西尾 洋先生)

IMG_7120.JPGのサムネール画像2017年上半期ピアノ指導法シリーズセミナーの第2回「楽譜の向こう側?独創的な演奏表現を目指して?」が、講師に西尾洋先生をお招きして開催されました。(4月10日日響楽器池下店ホール)


西尾先生は、子供の時からピアノと作曲を勉強し、日本とドイツの学校では作曲を専攻されました。ピアノ科出身の先生のセミナーが多い中、今日は作曲科の先生の講座ということで、非常に楽しみに出かけました。

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先生はドイツに行かれた時、「なぜドイツの学生は、ソルフェージュ能力も譜読みも日本人より劣るのに、心に響く演奏ができるのか」という事実に驚かれたそうです。非常にレヴェルの高い日本の教育は、聴音のための聴音、楽典のための楽典になっていて、何かが違う。すべては音(演奏)につなげなければ意味がない、という実感のもと、独創的な表現を目指して、楽譜を読み解くことの大事さやヒントを話してくださいました。ご自身の著書「応用楽典 楽譜の向こう側」をもとに講座は進められました。


*音階に意味がある の項より
「こいのぼり」と「大きな古時計」を例にあげ、ほとんどの歌はほぼ1オクターブ以内(普通の人が心地よく歌える範囲)である。
こいのぼりは正格旋法。主音Cから上に1オクターブ。メロディーは大きく上昇する。大きな古時計(ここではハ長調)は変格旋法。主音Cからの距離はほぼ5度以内。主音のまわりを縫うように上下する。


*資料楽譜「ブルグミュラー18の練習曲」より
「ゴンドラの船頭歌」この曲は正格旋法。最低音Aより盛り上がる音型.。倚音がたくさん出てくるが、先生は、ずれている、こすれている?はまる のように表現された。主和音は自分の家?他の和音(よそへお出かけ)?主和音(家へ戻って安堵する。主和音に戻った感じを大事に。
7小節の減七は特別な意味を持つ。いろんな調に行ける和音。
「空気の精」主旋律のフレーズの終わりの8分音符についたスタッカートは要注意。切るというよりは、次のフレーズの入りと切り離すという意味にとったほうがよい。


*音源 メンデルスゾーンの歌曲「歌の翼に」 2枚のCDを聴き比べました。大事な歌詞のところでのピアノパートのスフォルツァンドやドッペルドミナント、また歌の最高音についた松葉の印をピアニストはどのように弾いているか?1人は伴奏部の16分音符を均等に、大事な部分もインテンポで弾くので、歌い手を焦らせている。もう一人はベースを中心にして、16分音符は適度にぼかす。待つところは待ち、進めるところは進める、といったことが、柔軟に対応できていた。どちらがいいか は明らかでした。

ほんの一部だけご紹介しましたが、とても2時間では足りない中身の詰まった講座でした。ピアノ演奏も素敵で、ほんとは何も書かずにじっと聴いていたかったです。「忘れていいんですよ。直感を大事にしてください。書くことに一生懸命になると、きけないもの。レポートも適当に...」とおっしゃった言葉に救われました。またぜひ続編をお願いします。

2017年5月15日

楽譜の向こう側  -独創的な演奏表現を目指して-

2017年4月10日(月)日響楽器池下店ホールにて西尾 洋先生をお招きして「楽譜の向こう側  -独創的な演奏表現を目指して-」というタイトルで、2017年上半期ピアノ指導法シリーズセミナーの第2回が開催されました。
西尾先生は、子供の時からピアノと作曲を勉強し、日本とドイツの学校では作曲を専攻されました。ピアノ科出身の先生のセミナーが多い中、今日は作曲科の先生の講座ということで、非常に楽しみに出かけました。
先生はドイツに行かれた時、「なぜドイツの学生は、ソルフェージュ能力も譜読みも日本人より劣るのに、心に響く演奏ができるのか」という事実に驚かれたそうです。非常にレヴェルの高い日本の教育は、聴音のための聴音、楽典のための楽典になっていて、何かが違う。すべては音(演奏)につなげなければ意味がない、という実感のもと、独創的な表現を目指して、楽譜を読み解くことの大事さやヒントを話してくださいました。ご自身の著書「応用楽典 楽譜の向こう側」をもとに講座は進められました。


*音階に意味がある の項より
「こいのぼり」と「大きな古時計」を例にあげ、ほとんどの歌はほぼ1オクターブ以内(普通の人が心地よく歌える範囲)である。 こいのぼりは正格旋法。主音Cから上に1オクターブ。メロディーは大きく上昇する。大きな古時計(ここではハ長調)は変格旋法。主音Cからの距離はほぼ5度以内。主音のまわりを縫うように上下する。
*資料楽譜「ブルグミュラー18の練習曲」より
「ゴンドラの船頭歌」この曲は正格旋法。最低音Aより盛り上がる音型.。倚音がたくさん出てくるが、先生は、ずれている、こすれている?はまる のように表現された。主和音は自分の家?他の和音(よそへお出かけ)?主和音(家へ戻って安堵する。主和音に戻った感じを大事に。
7小節の減七は特別な意味を持つ。いろんな調に行ける和音。 「空気の精」主旋律のフレーズの終わりの8分音符についたスタッカートは要注意。切るというよりは、次のフレーズの入りと切り離すという意味にとったほうがよい。
*音源 メンデルスゾーンの歌曲「歌の翼に」
2枚のCDを聴き比べました。大事な歌詞のところでのピアノパートのスフォルツァンドやドッペルドミナント、また歌の最高音についた松葉の印をピアニストはどのように弾いているか?1人は伴奏部の16分音符を均等に、大事な部分もインテンポで弾くので、歌い手を焦らせている。もう一人はベースを中心にして、16分音符は適度にぼかす。待つところは待ち、進めるところは進める、といったことが、柔軟に対応できていた。どちらがいいか は明らかでした。
ほんの一部だけご紹介しましたが、とても2時間では足りない中身の詰まった講座でした。ピアノ演奏も素敵で、ほんとは何も書かずにじっと聴いていたかったです。「忘れていいんですよ。直感を大事にしてください。書くことに一生懸命になると、きけないもの。レポートも適当に...」とおっしゃった言葉に救われました。またぜひ続編をお願いします。
Rep:名古屋支部 森崎一子

2016年9月29日

【実施レポ】連弾を取り入れた魅力あるレッスンと指導法(藤井隆史先生・白水芳枝先生)

2016年5月30日(月)、日響楽器名古屋池下店2階ホールにて、ピアノデュオ ドゥオールの藤井隆史先生と白水芳枝先生をお迎えして「連弾を取り入れた魅力あるレッスンと指導法」と題したセミナーが開催されました。
日本を代表するデュオであるお2人の先生のセミナーとあって、沢山の熱心な先生方が参加されました。



セミナーは、ラヴェルの「マ・メール・ロア」より"眠りの森の美女のパヴァーヌ"の素敵な演奏から始まり、会場はすぐにその世界観に包まれました。
そして、2016年度ピティナコンペ連弾課題曲やその他オススメの曲を演奏しながら、演奏のポイントや曲についてお話しされるという形で進んでいきました。

連弾で大切にしたいことは?

※ブレスを大切にし、相手の指が鍵盤に落ちる瞬間を見てよく合わせる。

※セコンドの右手とプリモの左手は音域が近くて膨らんでしまうので、バランスをとる。

※中音域で手や体がぶつかってしまう場合は、鍵盤の縦の長さを十分に使い弾く場所を決めたり、手首を上げて相手の手が通りやすくしたり、手が下か上か、体は前にいるのか後ろにいるのかなどで工夫をする。

※セコンドが受け持つペダルは、自分のためのペダルではなく2人で作る音楽の和声のためのペダルであるという意識を持つ。

※PPの時は、ソロで弾く時よりももっと弱い音を作るつもりで!

※セコンドの体の重心は左にある。

※メロディーとバス以外の内声も楽しみ、その香りが聴こえるように!

※2人で細かくイメージを想像して音にする。


など、演奏する時にも指導する時にも心にとめておきたいポイントを沢山教えて頂き、 日頃ソロ指導にかたよりがちなレッスンに連弾を取り入れることで、音楽の楽しみがより広がり、ソロ演奏にもとても良い効果があると感じました。
そして、それらのお話の中でも、連弾では1+1=2ではなく限りなく1であるという言葉が私の心に残り、先生方の本当に息の合った素敵な演奏とともに、2人で1つの音楽を作り上げ共有することの喜びや楽しさをあらためて認識できた貴重な時間となりました。


藤井先生、白水先生、素晴らしい演奏と盛り沢山の学びを頂き、本当にありがとうございました。


Rep:ピティナ名古屋支部 赤松 佳容子

2016年6月13日

【実施レポ】続・科学的ピアノ指導法 ―ピアノが育てる子どもの脳力―(塚原利理先生)

2016年4月18日(月)日響楽器名古屋池下店2Fホールにて、塚原利理先生のセミナー「続・科学的ピアノ指導法 ―ピアノが育てる子どもの脳力―」が、多くの熱心な参加者の中開催されました。

「ピアノを習うと脳を刺激して頭がよくなり勉強ができる!!」という類の言葉を多くのメディアが取り上げている昨今です。

そのフレーズに指導者としては心が動き関心を持たずにはいられません。この講座では、人間ならではの能力、子どもの4つの本能から始まり、ピアノレッスンと脳への伝達の仕組みや性質、保護者や指導者の役割、学校教育においてのニーズ等を詳しくご指導いただきました。
盛りだくさんな内容をまとめてみると、心に残るいくつかのキーワードがあり、

◎1 共働
人間ならではの能力の中のひとつに「しるし」を読み取るという行為がある。それはメッセージを読み取るというコミュニケーション能力(共働)であり、楽譜を読み取る力ともなる。また脳について言えば、右脳と左脳は脳梁により相互に関連して働く、つまり共働して「自動性」を持つシステムである。よって音楽も勉強もコミュニケーション能力が重要である。

◎2 触覚
触覚という皮膚感覚はどちらかというとあまり鋭いものではないので、楽譜を読み、指先に伝達しピアノを弾き、その音を聴き取る行為は子どもの4つの本能のひとつである芸術本能を鍛えることになる。

◎3「明示知」「暗黙知」「専門知」
暗黙知の多い音楽教育に対して、専門知をしっかりと捉え、保護者に理解してもらえる明示知を指導者は持つこと。

◎4 最重要他者
子どもの成長においては、脳を刺激することにより信頼関係を持つことが非常に大切であり、その信頼関係は個人差があるものの年齢によって変わってくる。10歳くらいまでは母親がその役割を担うため、「信、認、任」を母親と共働していくこと。

「ピアノを習うということは脳の発達に素晴らしい効果を顕すことは間違いない!!」 ただし「きちんと習うこと」ということを念頭に入れつつ、指導者は効果的な指導法を確立して絶えず客観的に再確認して、一人一人に柔軟に対応できるスキルを持つ必要があると思いました。そして私たち指導者は、長期間にわたってピアノ教育をするという大変な責務を負っているのだという認識を持たなければならないと強く感じました。

塚原先生、貴重なお話をどうもありがとうございました。 

Rep:ピティナ名古屋支部 野原眞由美

2016年2月17日

【実施レポ】目からウロコのピアノ奏法(3回シリーズ)Vol.3 リズム、拍、ハーモニーのとらえ方(馬塲マサヨ先生)

2016年1月25日(月)日響楽器池下店2Fホールにて馬塲マサヨ先生をお招きし、「目からウロコのピアノ奏法(3回シリーズ)Vol.3 リズム、拍、ハーモニーのとらえ方」という題で講座が開催されました。
この日の名古屋は、数日来の寒波で雪がうっすら積もり道路が凍結していましたが、会場は多くの熱心な先生方で埋まり、音楽の大切な要素である『リズム、拍、ハーモニー』のお話しにひき込まれていきました。
リズムのとらえ方において、西洋人と日本人の決定的な違いは、『弾む』か『弾まない』か。これは、西洋人は乾燥した大地や石畳、日本人は水田があったり道も雨が降ればぬかるむ環境でそれぞれ暮らしてきたことが『弾む』リズム感と『弾まない』リズム感を生み出したのではないかということです。
'一拍目'は、『落ちる』ポイントではなく、一拍目が始まる前に落ちてきたものが『落ちた瞬間に弾む』ポイントであるという説明から、今まで何となく感じていたことが頭の中で整理できすっきりと私の中に入りました。そして、この弾んで上がり、落ちてきてまた弾むという繰り返しが『拍感』で、この拍を常に感じることが自然な音楽を生むこともお話し下さいました。

言語の違いにより、名詞が先にくる日本人は、常に小節のはじめの音で曲の始まりを感じやすいが、西洋では前置詞が先にくるので、アウフタクトから始まり小節のはじめの音につながるという感覚があるということです。
この事ともつながりますが、ハーモニーについても、西洋人はハーモニーが体の中にあり終止形も自然に感じられるが、日本人はそうではない。西洋音楽は2つの音の関係性で成り立っているので、次の音に変わる直前に変化を感じることが大切であり、ハーモニーの変わる直前で和音の響きを止めて心に響かせる練習で、変化が感じられるようになることも教えてくださいました。
西洋の楽器であるピアノを弾くとき、日本人特有の『音のとらえ方、聴き方』を意識的に変えていくことが、生き生きとした心の動く演 奏につながるのだということが理解でき、日々のレッスンのためにも自分の演奏のためにも、大きな学びを得ることができました。
馬塲先生、3回にわたり貴重なお話を頂きありがとうございました。

Rep:名古屋支部 赤松佳容子

2015年7月17日

【実施レポ】目からウロコのピアノ奏法(3回シリーズ)Vol.1 身体、腕、手首の使い方を見直そう(馬塲マサヨ先生)

7月9日(木)日響楽器 池下店2Fホールにて、馬塲マサヨ先生セミナー「目からウロコのピアノ奏法(3回シリーズ)Vol.1 身体、腕、手首の使い方を見直そう」が開催されました。昨夜からの大雨も朝から小降りになり、楽器店のホールは10時前になると一気に満員になりました。

本当に目からウロコのことがいっぱいで指の形を決めるより腕がどんな状態にあるかを考えること。また日本人はクワを持って土を耕す動作になるが、西洋人はスコップで土を掘る形になる。前の脇は空けるが後ろは空けない。手のひらの筋肉は老化しない。4と5の指は鍛えなくてもかい外にすれば音は出る。等々骨格模型を使ってのお話は説得力のあるものでした。ピアノ奏法は深くて時間のかかるものですが、馬塲先生の後2回、3回と続く講座が、楽しみになりました。

★次回セミナー告知★
石井 なをみ先生による
【バッハが教えてくれること!~バロック6つの指導ポイント~】
◆日 時:2015年9月28日(月)10:00-12:00
◆会 場:日響楽器池下店 2階ホール
◆受講料:PTNA会員:3,000円/一般:3,500円
     ※シリーズ講座 4回通し券:10,000円
◆内 容:
【石井なをみバロック指導法講座 自分で書き込む!バロック白楽譜の活用法】
ピアノ学習者に必ず学んでほしい、音楽の基礎であるバロック音楽。楽曲をより深く理解するためには、単に音の高さと長さを見て音を並べる演奏ではなく、疑問を持ちながら楽譜を読み取る力を育てることが不可欠です。そうすることで他の時代の楽譜の読み方も変わります。でも、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
この講座では、「バロック白楽譜」を使って、楽譜から様々なことを読み取り、書き込むことでオリジナルの楽譜を作る"なをみ流"バロック指導法など、読譜力と演奏力アップに繋がる数々のノウハウをご紹介。また、バッハコンクールの課題曲についてもお話しいただきます。
♪作曲家の意図の解釈:形式、メロディー、リズム、ハーモニーなど
♪バロック音楽の指導の仕方
♪楽曲を完成させるには?
♪ 使用テキスト:
「バロック白楽譜」 I-III 各1,000円+税(東音企画刊)ほか
◆お問い合わせ先:ピティナ名古屋支部 TEL: 052-753-6275
※WEBからのお申し込みは こちら をクリックしてください。

2015年6月10日

【実施レポ】耳と心を研ぎ澄まそう~小さな違いに気付いて感動を音に~(平間百合子先生)

5月25日、日響楽器池下店2階ホールにて、平間百合子先生による「耳と心を研ぎ澄まそう~小さな違いに気付いて感動を音に~」というセミナーが開催されました。会場は熱心な指導者で満席となり、平間先生のチャーミングなお人柄と、楽しいお話に夢中になり、あっという間の2時間となりました。
小さなことに耳と心を研ぎ澄まし、五感を働かせることは全て音楽に通ずる、というお話から始まり、平間先生が普段心がけている事として、いくつかのことをお話し下さいました。
◎楽譜をよく読むことの重要性
楽譜に書いてあることは忠実に守る。
しかし、それに息を拭き入れるのは生徒自身であるということを忘れないようにする。
◎想像力を膨らませることの大切さ。
・生徒を支配してイメージを押し付けないようにし、一緒に想像を膨らませる。
・このためには子供に夢中になって何かをさせる経験が必要である。
・理想とする演奏の正反対の演奏をしてみせ、本当に美しいものに生徒自身に気付かせる。
・小さなことに心を震わせることができることが大事である。
◎どうやって弾いたら良いのか、生徒自身から引き出す。
初めは字を覚える時のように、生徒に先生の演奏を真似させる。それができたら手本なしで弾かせる。そして、心を入れて弾けるようにする。
このように、未来を見据えて指導していく。

また、これらのことをする為のテクニック、指導方法のアイデアをたくさん教えていただきました。最後に、今年度のコンペ曲をいくつか取り上げ、ペダルの使い方のコツ、同音連打の弾き方、表情の付け方など、演奏と共に解説していただきました。
平間先生のお話を聞かせていただき、生徒への言葉がけの仕方、子供の心の世界を引き出すことの重要性を学ぶとともに、指導者自身がまず、常日ごろ耳と心を研ぎ澄まし、感性を磨くことが必要であると感じました。
平間先生、素敵なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

Rep:ピティナ名古屋支部 林公子


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