レポート アーカイブ

2016年6月23日

【実施レポ】四期の演奏スタイルとピアノの歴史(藤井一興先生)

160610hujii1.jpeg 6月10日(金)カワイ表参道コンサートサロンパウゼにて藤井一興先生をお迎えし、「藤井一興ピアノ研究セミナーvol.2 四期の演奏スタイルとピアノの歴史」が開催されました。 今回のプログラムはコンペ課題曲A1級からF級迄の中から幅広くセレクトされました。
160610hujii2.jpeg 全曲を藤井先生の演奏付きレクチャーで、「指導ポイント」と「演奏ポイント」両方の観点から解説していただけるという、大変興味深い内容でした。 4期の時代に合わせた奏法や音色の選び方。ペダルの適切な扱い方。呼吸感や休符の感じ方。打鍵と離鍵のテクニックなど細部に渡り、それぞれの作曲家の特徴を素晴らしい実演にて御教授下さりました。
160610hujii3.jpeg 受講生の皆様から、「音楽の本質を理解する事の重要性や、生徒さんにその素晴らしさを伝える事の大切さについて、改めて考えさせて頂ける内容だった」との感想を多く頂きました。 また今回、バロックプログラムに至りましては特に皆様から大絶賛で、初めて耳にする様な美しく立体感ある響きに圧巻されました。

次回の「藤井一興ピアノ研究セミナーvol.3」は、2016年11月25日カワイ表参道コンサートサロンパウゼにて、バッハ平均律とショパンエチュードの二本立てによるプログラムを、複数回シリーズにてスタート致します。
大変興味深く貴重な機会ですので、是非とも御拝聴頂けましたら幸いでございます。
皆様のお越しをお待ちしております。


Rep:ピティナ世田谷スマイルステーション 代表  三輪昌代

2016年12月 8日

【実施レポ】藤井一興ピアノ研究セミナーVOL.3 調性による色彩とファンタジー1(藤井一興先生)

日程:11月25日
会場:カワイ表参道店

161125hujii_1.JPG メシアンの弟子としても知られる藤井一興先生によるピアノ研究セミナー。藤井先生の愛弟子である三輪昌代先生が代表をつとめる表参道スマイルステーションの主催で行われました。
今回は、ショパンのエチュード1‐5番(作品10)と、それと同じ調のバッハ平均律をあわせて演奏・考察するという大変興味深い取り組みです。


161125hujii_2.JPG 1 バッハ平均律BWV846/ 1番 ショパンエチュードop.10-1 C-Dur 2 バッハ平均律BWV865/ 20番 ショパンエチュードop.10-2 a-moll 3 バッハ平均律BWV854/ 9番  ショパンエチュードop.10-3 E-dur 4 バッハ平均律BWV849/ 4番   ショパンエチュードop.10-4 5 バッハ平均律BWV858/ 13番  ショパンエチュードop.10-5 Fis-Dur/Ges‐Dur(異名同音)


161125hujii_3.JPG ショパンが毎日のようにバッハの平均律を練習していたことは有名です。
藤井先生は両者を弾き比べ、10‐1とプレリュードの1番は左手のバスがCで、右手が8分音符が拍の頭にあり、まず16分音符による一度の分散和音と、あまりに共通点が多いことを指摘されました。
続けて弾きながら、和声や転調、不協和音など、アナリーゼをしつつ、「この不協和音程を感じて」など、音楽の構造からどのような音色、タッチ、バランスで弾くべきかを示しました。
時々「悪い例」として、乱暴なタッチも演奏してくださり、それまでの雅やかで美しい響きとの違いにびっくりしますが、確かにそれがふだんよく聞く音であることに愕然とします。


161125hujii_4.JPG バッハでも藤井先生は場所によって微妙にペダルを踏んでいました。
平均律4番のフーガの最後の部分ではソステヌートペダルを使って全音符が4小節続くタイを伸ばしていました。
いったん弾いて減衰した音なのに、鍵盤を押し下げダンパーが解放されたままなので、他の倍音が鳴ると共鳴して再び鳴り始める。
そのお話しのあとに演奏を聴くと、確かにそうなっています。
惜しげもなく、5声の難しいフーガで美しい横の流れとハーモニーをつくりだす方法を披露してくださいました。


いっぽう藤井先生がショパンエチュードを弾き始めると、なめらかでスピードのある指はこびにうっとりと受講者たちが聴き入りました。
10‐1のアルペジオを弾くときには、どの音が音階第何音か考え、倍音に気を付けながら強すぎず、弱すぎないバランスを追求して透明な響きを作るというお話がありました。

10‐2では右手首の振り方、腕のなかの「中身を変える」、腕から手をぶら下げる感覚、3の指のストレッチ方法など、まさにテクニックの奥義の連続。

10‐3「別れの曲」では、31小節目、34小節目がエキエル版で音が変わっている問題について触れ、藤井先生がミラノでエキエル先生に直接お話を聞いたという驚きのエピソードが飛び出し、会場もしんと静まりかえりました。

10‐4でも指づかいやダイナミクス、ペダリング、いったん弱くするとよい箇所など、絶対に聞いておきたい話の連続。
最後のダダーンという和音は「ワン・ドロップダウン・ツー・プレイ」といって腕を一度落とす動作で、鍵盤からの跳ね返りを利用して2音を弾くそうです。


161125hujii_5.JPG 最後にこんなお話がありました。
「様式は違いますが、ショパンはバッハをお手本にハーモニーを書いています。
ショパンでもバッハでも、左手を聴くことが大切です。
バスに"のせる"と転調しやすいし、ハーモニーの彫りが深くなりますね」


161125hujii_6.JPG 作曲家でもある藤井先生。
楽曲の深い理解は、そのまま1音1音をどう弾くべきかの解釈に直結しており、驚くべきピアノの音色の美しさ、ハーモニーの立体感、それらが織りなす深い説得力に、ただただ、ずっと聞いていたい、もっともっと知りたいという強い思いがあとからあとから湧いてくるような、かけがえのない時間でした。


文・山本美芽(音楽ライター・ピアノ教本研究家 )


161125hujii_8.JPG ★次回、表参道スマイルステーションによる藤井先生のセミナー★

「藤井一興ピアノ研究セミナーVOL.4調性による色彩とファンタジー2」
2017.3.3(金曜日) 
表参道カワイサロンパウゼにて10時半‐
ショパンエチュードとバッハの平均律の続きをとりあげる予定です。


※この日の講座はプロのカメラマンによってDVD収録されています。
2016年年末に完成の予定です。
ご希望の方は表参道スマイルステーション(090-5309-2076)にご連絡いただくか こちらにメッセージ頂けますと幸いです。
olivier.messiaen1908-1992@jcom.home.ne.jp



yamamotomime.jpg 山本美芽
やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。
中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。
ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。
「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続け、 多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。
中村菊子、呉暁、樹原涼子などピアノ教本の著者・訳者からは厚い信頼を得ている。
2006年―2010年の間、 夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。
州立シエラカレッジにて単位取得。
アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」 (春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。
音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、 自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。
ピアノを多喜靖美氏に師事。 室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。
あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、 参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。

オフィシャルサイト http://mimeyama.jimdo.com/
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2016年12月16日

表参道10月ステップ開催レポート(2016.10.2)

2016年10月2日カワイ表参道サロンパウゼにて
ステップが開催されました。

音楽を愛する皆様が楽しく幸せなスマイルでご参加下さりました事と、
ご協力、お力添えいただきました関係者の皆様に
心からの感謝を申し上げます。

また次回に向けて、より一層の精進に努めたく存じます。
素晴らしい1日を本当にありがとうございました。

表参道スマイルステーション代表 三輪昌代

2017年10月10日

バッハ平均律、ショパンエチュード全曲シリーズ 調性による色彩とファンタジー第2回

170303fujii_1.jpg文・山本美芽(音楽ライター・ピアノ教本研究家)
日程:3月3日
会場:カワイ表参道コンサートサロンパウゼ

メシアンの弟子としても知られる藤井一興先生によるピアノ研究セミナー。藤井先生の愛弟子である三輪昌代先生が代表をつとめる表参道スマイルステーションの主催で行われました。今回は、ショパンのエチュード作品10の6-9番と、それと同じ調のバッハ平均律をあわせて演奏・考察するという大変興味深い取り組みです。


170303fujii_2.jpg1. 変ホ短調 バッハ平均律BWV853/ 1巻8番 ショパンエチュードop.10-6
2. ハ長調 バッハ平均律BWV870/ 2巻1番 ショパンエチュードop.10-7
3. へ長調 バッハ平均律BWV856/ 1巻11番 ショパンエチュードop.10-8
4. へ短調 バッハ平均律BWV857/ 1巻12番 ショパンエチュードop.10-9

170303fujii_3.jpg
「これは教会音楽ですね」と、まず先生が弾き始めた平均律の変ホ短調のプレリュード。一瞬にしてヨーロッパの荘厳な教会を思わせる響きに、さっと会場の空気が変わりました。これほどまでに素晴らしい曲だっただろうかと、驚きと感動が広がっていきます。
まず平均律1巻のes mollは、プレリュードはes mollですが、ヘンレ版のフーガはdis moll。藤井先生はこの異名同音を弾きわけられました。聴きわけは難しかったものの、シャープ系dis mollのほうがキラキラした音色。♭系のes mollは、やわらかい音色だった気がします。同じ調のショパンエチュード10の6es mollは、時の宿命を哲学的に受け止めるような曲。長三和音といえば明るいと思いがちですが、ここでは長三和音が悲しみを表現している、そんなお話もありました。

次にハ長調、2巻の1番のプレリュードは「絢爛豪華なカテドラルのようですね」といいながら演奏があり、一気に頭のなかがヨーロッパの教会に。楽譜のなかに途中出てくる4度や半音階進行などが教会の建物のパーツのように見えてきます。藤井先生が長く滞在していたパリで、サントシャペル寺院などのステンドグラスからの光を音色にたとえたお話、ルイ13世からさらにさかのぼったアンリ4世時代のフランス、バッハのいたドイツは、どちらもイタリアの様式や装飾からの影響を受けていた話もありました。
フーガは「清楚」というキーワード。先生のなにげない一言がどんどん想像力を広げてくれます。

170303fujii_4.jpgへ長調の平均律は1巻11番。「イタリア風、アラベスクが入ったプレリュードです」なるほど、イタリアンコンチェルトに似ている感じがしますが、やはりイタリア風というのがひとつバッハの引き出しとしてあるわけです。へ長調のショパンの練習曲は作品10?8。流麗で美しく、安定して弾いていく藤井先生のスーパー・テクニックには舌を巻くばかり。もしかして簡単な曲だったんだろうかと錯覚しそうになります。左手のリズムを踊りのように感じて弾くことが大切。また、右手の16分音符の「4321」の指で弾くときの「32」の音は「団子になりやすい」、音と音がくっつきやすいそう。このふたつの音のタッチをはっきりさせると「可愛らしくなります」。はっきりしない例と弾きわけてくださるのと聴くと、確かに、32がはっきりしていると、可愛い感じがします。
つねに素敵な音楽のためにテクニックやペダリングや指の形があることに感動します。また、この曲では4拍目から1拍目に入るときに100分の1秒ぐらい間をあけるというお話で、確かにそれがあると歌いやすく自然に聞こえました。

最後はへ短調。1巻12番のフーガは、休符が立体感をつくるための重要な役割を果たしているお話がありました。そこに注意して先生の演奏聴くとまさにその通り。100分の1秒の話もそうですが、あらゆる場面に応用できる重要な知識です。
どこの曲でも触れていたのが、ショパンは半音階の使い方や、和音を美しく響かるための配置など、多くのことをバッハから学んでいるということ。それが自然に楽曲のなかに出ている様子を、ひとつひとつ演奏を聴きながら音で確認していくと、決して難しくはありませんでした。
藤井先生が弾くバッハのフーガは、澄んだペダリングが非常に美しく、ひとつひとつの声部を自然な歌のように浮かび上がらせていました。最前列で見ていても、ペダリングは細かすぎてすべての足の動きと指の動きまでは理解できませんでしたが、これは収録されたビデオを何度も見直せばわかるかもしれません。もっともっと先生の音を聴きながらペダリングをよく見ていたいという思いが残りました。
毎回藤井先生の講座で感じることですが、曲を理解するための理論は、机上の空論ではなく、実際の音、鳴り響く演奏への感動があって、はじめて必要性や意味がいきいきと伝わります。やはり指導者としては、生徒さんには実際の音を通して美しさを感じてもらい、そのうえで理論も説明できたら理想的だと感じました。


★次回のセミナーのご案内★
次回、表参道スマイルステーションによる藤井先生のセミナー
「藤井一興ピアノ研究セミナーVOL.5 調性による色彩とファンタジー3」

2017.11.17(金)
表参道カワイサロン パウゼにて10時半-12時半
ショパンエチュードとバッハの平均律の続きをとりあげる予定です。

この日の講座はプロのカメラマンによってDVD収録されています。
2017年 4月半ばごろに完成の予定です。
限定枚数にて只今、御予約受けたまわり中です。
ご希望の方は表参道スマイルステーションにご連絡いただくか
090-5309-2076
こちらにメッセージ頂けますと幸いです。
olivier.messiaen1908-1992@jcom.home.ne.jp

2017年11月24日

【実施レポ】藤井一興ピアノ研究セミナーvol.5 バッハ平均律・ショパンエチュード全曲シリーズ調性による色彩とファンタジー3(藤井一興先生)

日時 2017年11月17日(金)10:30-12:30
会場 カワイ表参道コンサートサロンパウゼ
主催 ピティナ表参道スマイルステーション
代表:三輪昌代
レポート:山本美芽(音楽ライター)

《バッハ平均律第1巻17番変イ長調BWV862》
《ショパンエチュード変イ長調op.10-10》
《 バッハ平均律第1巻7番変ホ長調BWV852》
《 バッハ平均律第2巻第7番変ホ長調BWV876》
《ショパンエチュード変ホ長調op.10-11》

ショパンがパリに出る前に書いた作品10の練習曲を見ると、バッハの平均律との共通点がさまざまに浮かび上がり、ショパンがバッハを研究していたことが推測されます。 表参道スマイルステーション主催のこのセミナーシリーズは、この視点から、同じ調のショパンエチュードとバッハ平均律を演奏しながら考えていく興味深いものです。今回はフラット系の変ホ長調、変イ長調の曲がテーマでした。
今回演奏された曲は、どれもエチュードや平均律のなかでも比較的難しい部類に属し、学習順序としてはあとになってしまいがちで「大変そう」というイメージもありますが、藤井先生が弾き始めると、あまりに美しい世界が広がり、まさに驚きの連続でした。

「初冬のこんな天気のいい日には、教会のカテドラルにあるステンドグラスに光が入って、そこでパイプオルガンの音が鳴り響くと、なんともいえないんですね」とのお話から始まった1巻のプレリュード7番。長く伸ばす音符がたくさんあり、オルガンのようなイメージとのこと。ペダルを細かく踏みながら、藤井先生はまるでオルガンのように持続音で声部を描き分けていきます。

また、藤井先生は、調性や、音階や和音の第何音が使われているのか、大事な音の和声的な意味合いをわかりやすく指摘されました。1巻7番のフーガの冒頭テーマが「属音から始まり」、真ん中の声部の「テーマは主音から始まる」といった具合です。そしてショパンエチュードの作品10の11、こちらも変ホ長調ですが、アルペジオで「パララン」とハープのように弾く和音が終始連続する曲。和音のなかでそれぞれの音のバランスをどのようにとるのか、特に内声の出し方がポイントということです。そこではどの指を中心に動くか、いつどの指をすばやくどけるのか、手首の使い方など、さまざまな技術的な要素もお話がありました。

ショパンはフラット系の調で、曲をたくさん残しています。同じフラット系の調でも「英雄ポロネーズ」などの作品もあり雄大な広がりを感じさせる変ホ長調と、高貴さのある変イ長調ではまた色合いが違うものです。平均律1巻17番のプレリュードではヘミオラについて、フーガでは4度あがって2度下がる音型を多用、ミクソリディア旋法が出てくることなどアナリーゼ面を中心に。同じく変イ長調のショパン練習曲作品10の10では、手の中心の軸などの技術面についての解説とあわせて、ラヴェルやドビュッシーを先取りしたような側面についてもお話がありました。

演奏にあたって、藤井先生はショパンはエキエル版、バッハはヘンレ版を使っていました。参加者から、平均律のなかで版によって違う音については、どのように考えたらいいのかという質問がありました。藤井先生は、ヘンレ版でも先生が子どもの頃に使っていたヘンレ版と現在では音が違う、作曲者自身も音を二通り書いている場合などは、作曲者が亡くなっていたら「本当はどちらなのか」と確認することもできない。1音の違いは大きいけれども、そこよりももっと深いところ、大きなところにを大切にしたほうが良いのではないかというお話をされました。

学習課題である以前に、最高の音楽作品としてショパンとバッハを味わう。その感動とともに、藤井先生の驚異的な無駄のないテクニック、そして楽譜を見る眼に触れることができる、素晴らしい時間となりました。

次回の藤井先生セミナーは4月27日、藤井先生が翻訳を手掛けたピュイグ・ロジェのテクニックなども取り入れ、レッスンで取り入れていくための効果的な練習方法についてもお話いただくそうです。
このセミナーがDVDで販売される予定です。DVDのお申し込み先は ピティナ表参道スマイルステーション三輪宛にメールかお電話にてお問い合わせいただけますようによろしくお願い致します。

◆メールアドレス:olivier.messiaen1908-1992@jcom.home.ne.jp
◆電話:090-5309-2076

藤井 一興 (ピアニスト)
ピアノを安川加壽子、井上二葉、辛島輝治、萩原智子、作曲を長谷川良夫、南弘明の各氏に師事。東京芸術大学 3 年在学中、フランス政府給費留学生として渡仏。パリ・コンセルヴァトワールにて作曲科、ピアノ伴奏科ともに一等賞で卒業。パリ、エコール・ノルマルにてピアノ科を高等演奏家資格第一位で卒業。その間、作曲をオリヴィエ・メシアン、ピアノをイヴォンヌ・ロリオ、マリア・クルチォ、ピアノ伴奏をアンリエット・ピュイグ=ロジェの各氏に師事。

1976年 オリヴィエ・メシアン国際コンクール第 2 位( 1 位なし)
1979年 パリのブラジル・ピアノ曲コンクール第 1 位
1980年 クロード・カーン国際コンクール第 1 位
    モンツァ"リサ・サラ・ガロ"国際コンクール第 1 位
    第1回日本国際ピアノ・コンクール第 4 位( 1 位と 3 位なし)
1981年 マリア・カナルス国際コンクール第 2 位( 1 位なし)
    及びスペイン音楽賞
    サンジェルマン・アン・レイエ市
    現代音楽国際ピアノ・コンクール第 1 位
1982年 パロマ・オシェア サンタンデール国際ピアノコンクール入賞
    第 3 回グローバル音楽奨励賞
    第 10 回京都音楽賞実践部門賞

世界各地、日本国内にてリサイタル、室内楽、コンチェルトの他、フランス国営放送局を始めとするヨーロッパ各地の放送局や日本のNHK等で多くの録音、録画など幅広い活動を行っている。 レコード・CDではメシアンのラ・フォヴェットゥ・デ・ジャルダンやイゴール・マルケヴィッチ作品集、武満徹作品集などを続々とリリース。また、作曲家としても、フランス文化省から委嘱を受け、その作品が演奏会や国際フェスティバルで演奏・録音されている。その他、世界初のフォーレのピアノ全集の校訂を担当し、 1 - 5 巻(全 5 巻完結)を春秋社より出版している。
現在、東邦音楽大学大学院大学教授、東邦音楽総合芸術研究所教授、桐朋学園大学特任教授、東京芸術大学講師。◆ オフィシャルサイト


2018年5月14日

【実施レポ】藤井一興ピアノ研究セミナーvol.6 バッハ平均律・ショパンエチュード全曲シリーズ 調性による色彩とファンタジー4(藤井一興先生)

日時 2018年4月27日(金)
会場 カワイ表参道コンサートサロンパウゼ

1 ハ短調...バッハ平均律BWV847、ショパンエチュードop.10-12
2 変イ長調...バッハ平均律BWV886、ショパンエチュードop.25-1
3 ピュイグ=ロジェ「ピアノのエクササイズ 48の白鍵盤の練習と12のリクレーション」より

ショパンが敬愛していたバッハをどのように取り入れているのか、ショパンの練習曲とバッハ平均律の同じ調の作品を分析していく藤井一興先生のセミナーシリーズ「調性による色彩とファンタジー」、第4回がカワイ表参道にて行われました。

●死を表すハ短調
今回のテーマは死を表すハ短調、愛を表す変ホ長調。まずはハ短調として、バッハ平均律クラヴィーア曲集から、BWV847ハ短調をとりあげます。プレリュードを演奏しながらさまざまに転調していく様子、パイプオルガンの足鍵盤を使ったような響き最後のアレグロの増2度や、ピカルディ終止といった和声についてのお話や、ハーフタッチなどテクニックのことについてお話がありました。
フーガについては教会の中でのステンドグラスを思わせる宗教的な雰囲気について、また技術的なことでは、隣同士の指はリズムがくっついて崩れやすいとか。そのため、普通なら545と弾くのを、あえて535にするなどの工夫もある。なんと貴重なお話でしょうか。
続いてショパンのエチュードでハ短調作品10-12「革命のエチュード」について。アグレッシブなこの曲を藤井先生が弾くと、エネルギーがうねり、はじける波のように表現されていて、バリバリとしていません。いったいなぜ? どのようにすれば? 藤井先生は美しい右手のオクターブで弾くメロディについて、音色は黒鍵の方が情感が出やすいこと、黒鍵と白鍵では親指の触れる面積が違うので、音色が変わること。「ショパンはその音色の変化を見越して作曲してくれている」という興味深いお話に、会場からほーっとため息がこぼれていました。したがって左手も難しいけれど右手も難しい、お言葉に深く納得です。


●愛を表す変ホ長調
変ホ長調の平均律はBWVの886。かなり複雑なプレリュードとフーガですが、藤井先生が弾き始めるとそこは天国のような美しさ。難しさに圧倒され美しい作品であったことを忘れてしまっていて、なんともったいないことをしていたのか、いつも藤井先生のセミナーでは大きな気づきがあります。転調や和声、指づかいについて触れたのち、ショパンエチュードの作品25へ。
ここでは「扇のように」左右対称な動きや、ハーフタッチ、半ペダル・4分の1ペダル・8分の1ペダルの使い分け(!)についての実演もあり、まさに藤井先生の演奏の秘密がどんどん明らかになります。この曲は右の5の指で、ひたすらメロディを浮き立たせますが、「ゴツンと指が当たらないように、に空中で準備をして、指に空気を含ませる」(!)というお話も非常にわかりやすいものでした。藤井先生の演奏を聴いていると、確かに空中で指に空気を含ませると、音がふんわりと柔らかくなるのです。また、場所によっては5でなく4にすることで、右手の外声メロディの音色を変える方法も示されました。具体的で、すぐに真似して試せる非常に貴重なお話がたくさんありました。


●ピュイグ=ロジェ先生の教本に見られる「扇」の音型
後半は、藤井先生がパリで師事したピュイグ=ロジェ先生の「ピアノのエクササイズ  48の発見上の練習と12のレクリエーション」(音楽之友社)の使い方です。藤井先生はこの教本の邦訳と解説を手掛けています。25の1で「扇」という言葉が出てきた直後にこの本を開くと、まさに扇のようなエクササイズがたくさん載っています。休符からはじまる曲が多いのは、息をするため。歯を食いしばって大きな音で練習するのは良くない。フォルテとピアノの両方で練習し、ピアノはかすれないように。ハ長調で書かれているけれども半音あげてもよい。そして1と2の指を輪にする「リングの原則」についても触れられました。
 この「リングの原則」は、最近のアメリカの教本に出てくる「めがね」や「ドーナツ」や「うさぎ指」と通じるものではないかと大変興味深いものでした。藤井先生によると2の指で弾くこと自体に200年の伝統があるといいます。ピアノ以前のチェンバロ時代には2の指が今以上に重要な役割を果たしていたため、そこからの伝統も含まれているのではないかとも推察されます。この点、非常に重要なので、「ピアノのエクササイズ」を熟読・実践したうえで、次回以降にまた詳しく聴ければと感じました。  バッハからショパン、ピュイグ=ロジェ先生から藤井先生へと続くヨーロッパのピアノ音楽の伝統を、美しい演奏とわかりやすいお話で間近に聴ける、宝物のような時間となりました。

藤井先生の「色彩とファンタジー」セミナー、次回は11月30日の予定です。

 
★このセミナーがDVDで販売される予定です。
過去の藤井先生のセミナーDVDも販売しております。
DVDのお申し込み先は ピティナ表参道スマイルステーション三輪宛にメールかお電話にてお問い合わせいただけますようによろしくお願い致します。

◆メールアドレス:olivier.messiaen1908-1992@jcom.home.ne.jp
◆電話:090-5309-2076

藤井 一興(ピアニスト)
ピアノを安川加壽子、井上二葉、辛島輝治、萩原智子、作曲を長谷川良夫、南弘明の各氏に師事。東京芸術大学 3 年在学中、フランス政府給費留学生として渡仏。パリ・コンセルヴァトワールにて作曲科、ピアノ伴奏科ともに一等賞で卒業。パリ、エコール・ノルマルにてピアノ科を高等演奏家資格第一位で卒業。その間、作曲をオリヴィエ・メシアン、ピアノをイヴォンヌ・ロリオ、マリア・クルチォ、ピアノ伴奏をアンリエット・ピュイグ=ロジェの各氏に師事。

1976年 オリヴィエ・メシアン国際コンクール第 2 位( 1 位なし)
1979年 パリのブラジル・ピアノ曲コンクール第 1 位
1980年 クロード・カーン国際コンクール第 1 位
    モンツァ"リサ・サラ・ガロ"国際コンクール第 1 位
    第1回日本国際ピアノ・コンクール第 4 位( 1 位と 3 位なし)
1981年 マリア・カナルス国際コンクール第 2 位( 1 位なし)
    及びスペイン音楽賞
    サンジェルマン・アン・レイエ市
    現代音楽国際ピアノ・コンクール第 1 位
1982年 パロマ・オシェア サンタンデール国際ピアノコンクール入賞
    第 3 回グローバル音楽奨励賞
    第 10 回京都音楽賞実践部門賞

世界各地、日本国内にてリサイタル、室内楽、コンチェルトの他、フランス国営放送局を始めとするヨーロッパ各地の放送局や日本のNHK等で多くの録音、録画など幅広い活動を行っている。 レコード・CDではメシアンのラ・フォヴェットゥ・デ・ジャルダンやイゴール・マルケヴィッチ作品集、武満徹作品集などを続々とリリース。また、作曲家としても、フランス文化省から委嘱を受け、その作品が演奏会や国際フェスティバルで演奏・録音されている。その他、世界初のフォーレのピアノ全集の校訂を担当し、 1 - 5 巻(全 5 巻完結)を春秋社より出版している。
現在、東邦音楽大学大学院大学教授、東邦音楽総合芸術研究所教授、桐朋学園大学特任教授、東京芸術大学講師。

オフィシャルサイト

山本美芽
やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。  2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。  2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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