演奏能力を高め、より自由な発想を引き出すための 樋口紀美子公開レッスンのお知らせ
30分 9,000円 / 45分 13,500円 / 60分 18,000円

6月1日、南麻布春季ステップの翌日
『樋口紀美子先生による公開レッスン』が行われました。
午後1時から9時までコンペティションC級、D級、E級、F級、特級、グランミューズの
10名の受講生のレッスンが繰り広げられ、また30名の聴講生もお越しいただきました。
受講生の中には、前日同ホ-ルにて行われたステップに出演された方も多く、
2日間にわたり樋口先生のアドバイスが受けられ、
より深く先生の意図を理解し演奏につなげることができたように感じます。
樋口先生は33年間ドイツにおいてピアニストとして活動。
一方、指導者としても活動。
門下生からオーケストラとの再度にわたる協演者、
数々のコンクール上位入賞者を輩出してきました。
そして日本に帰国され現在、常に感じられておられる事
「日本で学ぶ人たちにとって、いかにヨーロッパ音楽を感じて演奏するか」
今回バッハやベートーヴェンといった古典期の曲が多く演奏されるなか、
先生は常に『アウフタクト』つまり、小節線のある音楽を意識し
拍感や間のとり方を大切にするようにとおっしゃっていました。
・・・その他、聴講した私達の心にまっすぐ届くメッセージが次々と!!
一部だけではありますがご紹介します。
「練習の目的は音楽的表現が先であり、その後に外さなくなるという結果がくる。
決して順序が逆になってはいけない」
「音にこだわりを持って練習、音楽的に本当に流れているか?」
「聴いている人が主役」
「公開レッスンのタイトルにある『自由な発想』とは・・・
作曲家からのメッセージである楽譜にかかれている事を忠実に読み取り、
追求していくプロセスを経てこそ、引き出されてくるもの」
【聴講生からのアンケートより】
・樋口先生の熱のこもった集中力の切れないレッスンが素晴らしい。
・欧州の薫りがする先生の音色でした
・先生自ら演奏して伝えるご指導はわかりやすく、
直後の受講生の音質ががらりと変わり、お見事です!
・指導法を学ぶ上でとても勉強になりました
・演奏に対する姿勢とお考えは、納得のいくお話でした。
今回、樋口紀美子先生の公開レッスンは初の試みでしたが、
今後も若きピアニストの向上と指導者育成を目指して、
公開レッスンを続けていこうと思います。
【嬉しいお知らせ】
ご好評につき、第2回公開レッスンを開催する事が決まりました。
時間が限られております。ご希望の方はお早目にご連絡ください。
日時 : 7月28日(月) 11時~13時30分
15時30分~18時30分
会場 : 松尾ホール ( アクセス地図はこちら )
受講料: 30分10000円・45分15000円・60分20000円
聴講料: 1000円
連絡先: PTNA南麻布インターナショナルステーション
Tel & Fax : 048-255-8007
mail : leibniz2014@gmail.com
2019年1月20日(日)日比谷スタインウェイサロン東京 松尾ホールにて「音楽の基礎
バッハ・インヴェンションを学ぶ~樋口紀美子先生によるレクチャー&公開レッスン」
が開催されました。
セミナーは〔第1部〕樋口先生によるバッハ・インヴェンションのレクチャーと全曲
演奏、〔第2部〕バッハの曲による公開レッスンの2部構成で行われました。当日は50
名を超える方々の参加があり、一年で最も寒い時期にもかかわらず、会場は汗ばむほど
の熱気に包まれました。ドイツで33年にわたりピアニスト、指導者として活躍されドイ
ツの空気や音楽を肌で感じてこられた樋口先生のレクチャーと演奏に期待が高まります。
第1部ではまずはじめに、バッハ自身が書いたインヴェンションの前書きを樋口先生
がドイツ語で読んでくださいました。そこには、「カンタービレで弾くように」という
ことがはっきりと書かれてあり、バッハを弾く上でカンタービレは一番大事なことだと
先生は強調されました。とかくバッハの音楽を堅苦しいもののように捉えがちな日本の
教育を受けてきた私たちには、新鮮な驚きです。バッハをカンタービレで弾く、それは
ロマン派のようなテンポルバートを伴ったカンタービレではないけれど、音の上がる・
下がるや、メロディーの音と音の間の音程や上声と下声の間の音程がどのくらい離れて
いるかを常に意識し、心の中でそれを感じながら弾くことだと先生は教えてくださいま
した。ピアノという楽器は他の楽器と違い演奏者自らが音程を作らなくてもよい楽器で
すが、ピアノを弾く人ももっと音程を感じること、音程感覚を持つことが大切だと、各
曲解説や公開レッスンの際に話されていました。
また、私たちが最も迷うアーティキュレーションについては、2度はレガート、3度と
4度はポルタート(ノンレガート)、6度や8度はスタッカートという基本はあるものの、
曲によって演奏者によって何通りもの解釈や素晴らしい可能性があるそうです。アーテ
ィキュレーションが作曲者によって示されていないから難しいと思うのではなく、樋口
先生がおっしゃるようにフレーズがどのように始まり、どこで終わり、どこにつながっ
ていくのか、様々な可能性を考えて試しどう弾くかを楽しむぐらいの気持ちを持ってバ
ッハの音楽をもっと楽しんでいきたいと思いました。
レクチャーの後には、樋口先生がインヴェンション全15曲を通して弾いてくださいま
した。各曲のポイントを伺ってから聴く演奏はなるほどと感じることも多く、レクチャ
ーだけでは得られない貴重な学びとなりました。あらためて15曲を通して聴くことで、
樋口先生がおっしゃる前の曲から次の曲への調性の移り変わりを味わい、インヴェンシ
ョンの新たな魅力を発見できた感じがします。
休憩を挟み、第2部の公開レッスン。冒頭、樋口先生
の「音楽に上手、下手はありません。今日初めて聴か
せていただく方もいらっしゃるけれど、その方の人間
性、出会いを楽しみにしています。」との大変印象的
なお言葉に続いて始められました。
まず受講生の良い所を褒めて引き出し、問題解決の
ための方法が次々と提案され、演奏がより音楽的に生
き生きと変わっていく、先生の持つ音楽の深さと熱意
に、受講生のみならず聴講している私たちも引き込まれるレッスンでした。
第1部のレクチャーで話されていた「心の中で感じて音楽をやること」「音の方向性
を感じ表現すること」そして「それぞれの調性が持つイメージを感じ調性の変化を味
わうこと」などが実際に受講生の演奏に対して投げかけられるので、受講生の演奏の
変化を通して、バッハを生き生きと自然に弾くために大切なことがよく見えてきます。
「バッハの時代の音楽は個人的な感情ではない、もっとユニバーサルで宇宙まで行っ
てしまうようなもの」という先生のお話に、なるほど...だからバッハの音楽は普遍的
であり、音楽の基礎なのだと思いました。
素晴らしい現代のピアノで、素晴らしいバッハの音楽を
演奏すること―それは、樋口先生の師J.S.バッハ国際ピア
ノコンクール創設者のW.ブランケンハイム先生が生涯をか
けて目指し、伝えてきたことだそうです。ピアノが好きで
好きでたまらないとおっしゃる樋口先生の音楽への情熱に
あふれた、非常に密度の濃いセミナーからは、現代のピア
ノでバッハを生き生きと演奏するための示唆と、たくさん
のヒントやアイディアをいただくことができました。
樋口先生、4時間にわたるエネルギッシュで素晴らしい
セミナーをありがとうございました。
〈Rep.古川恵美〉