2020年12月18日

中田 雄一朗先生セミナー(名古屋・2020/12/07開催)

2020年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第3回(全4回)四期別指導法とそのポイント
講師:中田 雄一朗

2020年12月7日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて中田 雄一朗先生をお招きし、「2020年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第3回(全4回)四期別指導法とそのポイント」を開催いたしました。

会場とオンラインの2つの方法で多勢の先生方が受講されました。

 『四期別にこう弾かなければいけない』というのは基本的に無く自由に表現すればよい。時代を意識せず各作品一曲一曲と向き合う事が最も大切。

 まず冒頭でこのようにお話しをされ、レッスンでよく用いられる各時代の曲を例にあげながら、ピアノ演奏を交えてお話ししてくださいました。

その一部をご紹介します。


☆バロック

 まず意識するのは装飾音。理論的にはいろいろ考えられるが、子どもが弾く場合は、その子が一番入れやすい装飾音を入れるようにするとよい。コツとして、すべての音を耳で聴き取ると粒立ちが良くなる。

 ♪インベンション2番(バッハ)

・7度や8度の跳躍を感じる事が大切だが、感じすぎるとロマン派のようになってしまうので節度を持って。

・どこにクライマックスを持って来るのか考えて、そこに向かう時に少し時間を使う(エネルギーをチャージする)のはNGではない。

・左手は右手の倍は練習する。


☆古典

 ♪ソナチネop.36-1(クレメンティ)

・左右のちょうど良いバランスを見つけ、左にもある程度の表情を感じ取る。

・提示部の最後は終わりではないので、次に向かう気持ちでのブレスを大切にする。

・フィンガーペダルは、アルベルティバスなど古典派に生かせるテクニックの一つ。

・全楽章を勉強する。



 ♪ソナタK.545(モーツァルト)

・4小節目のトリルは『ソファミ』のラインを崩さないように入れる。

・アルベルティバスのフィンガーペダル。

・何の曲でもそうだが、同じ部分が続く時は何か違う表現をする。

・和音の進行、伸びている音をよく聴く。

☆ロマン

 ♪貴婦人の乗馬(ブルグミュラー)

・冒頭からのメロディーは、一番上の音がバランスとしてよく出るように。拍頭は程よく強く(やり過ぎNG)。

・雰囲気の変化をよく感じて。



 ♪ゴンドラの船頭歌(ブルグミュラー)

・ハーモニーの動きを大切に。

・左手の伴奏のアクセントは、おだやかに波があたるような感じで。

・ロマン派の楽曲では、今までの時代の曲以上にメロディーを歌だと思って、歌う時の息と同じようにフレーズを作ると流れが良くなる。


☆近現代

 ♪アラベスク第一番(ドビュッシー)

・今までにないにじむような響きをきれいに重ねていく。ペダルの使い方が重要。

・バスのラインを響かせ、左手にも歌心が必要。 すべてに共通して大切な事は、耳を使い楽譜をしっかり見ること。よい耳を作るには、常に自分の音をよく聴き、小さいうちから色々な楽器の生の音を聴くと良い。沢山遊んだり美味しい物を食べたりと人生経験も表現力につながる。



中田先生がピアノを演奏されお話しされるお姿に〈音楽が好き〉なお気持ちが溢れていて、すっかり引き込まれあっという間に時間が過ぎていました。この様な気持ちで音楽をすることもとても大切な事とあらためて感じたセミナーでした。

中田先生、ステキな学びの時間をありがとうございました。



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Rep:ピティナ名古屋支部 赤松佳容子








2020年11月11日

【セミナー実施レポート】「舞踏へのアプローチ〜メヌエット編〜」

舞曲へのアプローチ 〜メヌエットの世界〜
講師:田中 巳穂

2020年10月26日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて田中 巳穂先生による「舞踏へのアプローチ〜メヌエット編〜」が開催されました。

オンラインと対面の両方でのセミナー開催でしたが、この日は秋晴れの爽やかで気持ちの良い天気にも恵まれ、会場にはマスク姿のピアノ指導者の方が数多く参加されました。
田中先生は2018年に下半期指導法セミナーを開催下さっており、今回はその続編という事で、「メヌエット」を取り上げ、奥深い舞曲の世界に私達を誘って下さいました。
今回のテーマは『バロックダンスの時代背景に思いをはせ、ピアノで弾くメヌエットの可能性を考える』というものでした。

「バロック・ダンスファンタジー」解説より〜
「バロックダンスは、宮廷貴族の日常の所作を支える基礎とされ、ポジションを知らなければお辞儀もステップもままならない。美しい歩き方の延長にダンスのステップがあり、その歩調が舞曲のリズムやテンポとの結びついた。」とお話し下さり、貴族が衣装を身につけてメヌエットを踊る映像も見せて頂きました。
優雅で品があり、ため息が出るような美しいダンスの世界でした。

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次に、メヌエットについて、特徴や踊られ方、ステップや時代背景についてお話し下さいました。

メヌエットとは...
・2小節がひとつの単位である。
・軽いつま先立ちで踊るダンスであり、1.2.3.4.5.6とカウントした6拍目で、両足をくっつけるステップが特徴。
・メヌエットは舞踏の王とも呼ばれ、18世紀後半まで社交ダンスとして踊られた。
・4分の3拍子のブランル(揺れる)から発展した中庸のテンポのフランスの舞曲である。
・もともとはフランス南部の快活な踊りであったが、ルイ14世が宮廷舞踊に採用してから、ヨーロッパの上流社会に流行。
・王様の舞踏会のはじめに、メヌエットが踊られていた。
・最初は速めのテンポで踊っていたが、だんだん遅いテンポで踊られるようになった。(ルイ14世が太った事が要因かもと言われている)
・お辞儀と抑制された動きが特徴である。

次にプレインベンションに出てくるメヌエットを9曲取り上げて、一曲ずつ解説下さり、フランス組曲にどのようにして結びつけていくのか、お話し下さいました。
・チェンバロでは強弱の変化は出来ないので、Durとmol Iの違いをはっきりさせると良い。
・アーティキュレーションの付け方
・重さのかけ方
・テンポの設定

説得力のある演奏に結びつけるには...
①テンポ
②リズムによる揺れの違い
②アーティキュレーション

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これらを考えて演奏することが必要である事を教えて下さいました。
あっという間の2時間でした。

最後に先生は...
「舞曲を生徒達に教えるには、
空気感、感触、揺らめき、などを言葉で表すよりも、その空気の中に生徒を入れたいと思います。ひざを曲げたり、伸ばしたり、遠くを見るような空気感を感じさせる事が大事です。説得力のある演奏が出来ると素晴らしいですね。」とお話し下さいました。

講座を聞き、改めて舞曲は奥が深く、もっと勉強したいと思いました。舞曲の素晴らしさを理解し、少しでも素敵な演奏を引き出す事が出来たら...と思いました。
貴重なお話をお聞かせ下さり、田中先生、本当にありがとうございました。
次のセミナーも楽しみにしています。

   

Rep:ピティナ名古屋支部 林公子





2019年11月29日

【セミナー実施レポート】「楽譜に書ききれない"表情のモト"って?」-音ではなく"音楽"を読みとく方法とは-

2019年11月18日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて轟 千尋先生をお招きし、「「楽譜に書ききれない"表情のモト"って?」-音ではなく"音楽"を読みとく方法とは-」を開催いたしました。

轟先生はピティナではおなじみの作曲家で、子どものためのピアノ小品や名曲のアレンジなど沢山お書きになり、コンペの課題曲にもたびたび採用されています。「楽譜に書かれていることの中には、目に見えるものと見えないものがあり、実は音楽の表情のほとんどが、楽譜の裏側に隠されているのです。直感でも想像力でもない、確かなよりどころから作曲家の意図を読み解く方法を紹介します」という轟先生のメッセージにワクワクしながら出かけました。

前半は轟 千尋著「いちばん親切な楽譜の読み方」(新星出版社)の中からブルグミュラー25の練習曲を使って解説されました。一部をご紹介します。

☆ベースを読む・・・楽譜は大まかにメロディ、ベース、和音の3層にわけられるが、一番低い音を受け持つのがベース。そこに注目してみる。

☆マクロ読み・・・細かい分析も大事ではあるが、時にマクロ読みも必要。  

 素直な心・・・大きくA(8小節)は1度、B(8小節)は5度。Bの最後で1度に戻る。主音Cにたどり着いた時の安心感。達成感。到達感。

☆動き出す喜び  

 アラベスク・・・1段目のベースはずっとラ。2段目でソに変わる。表情が変わる。教える時、ベースにラインをビーっと入れる。変わったところに◎をつけたりシールをはると良い。  

 (例)モーツァルトのアイネクライネナハトムジークの冒頭部分。ユニゾンのあと、ベースはずっとソ。息をひそめている状態からソソララシシソソと動くと音楽も(喜んで)動き出す。

☆ベースの出し惜しみ・・・ベースは響きを底辺から支えて響きの性質を決める。  

 牧歌・・・最初の2小節はメロディだけ。支えのない宙ぶらりんの状態。3小節目でベースが出てきて初めて安定感が得られる。

後半はご自身の作曲による、星降る町の小さな風景―ピアノのための28の小品―から。

まずその中の1曲を先生がお弾きになり、どんなイメージが浮かんだか、何人かの人がさまざまに答えた。(曲は月に想う)

この曲集はあえて I IV Vを使わなかったそう。タイトルも気にしないで自由に発想してください、とのこと。

☆和音の何番目の音がベースになっている?

根音が1番下に来る基本形は真四角。安定感のある響き。(モーツァルトK.545第1楽章第1主題)

第3音が1番下に来る第1転回形は丸。転がるような身軽さのある響き。(同第2主題)

第5音が1番下に来る第2転回形は逆三角。不安定で次の和音に寄りかかりたくなる性質。

雨上がりの朝・・・冒頭左手は1転なのでやわらかいタッチで。♭系から♯系に変わる色合いの違いを感じて。終わりはあえてV度。(宙ぶらりん)

霧に浮かぶ湖・・・2度の連続。水や自然を感じさせる。

桜のころ・・・この曲も冒頭のベースは1転。基本形では重すぎる。花びらの軽さを出すため1転にした。 憧れ・・・憧れの女性のイメージであえて♯6つのFisdur.(Gesdurではない。FやGでもない)

最後にやさしい夢を演奏してくださいました。我が子という、自分の命より大事なものを胸に抱いた時、もう何もいらないと思った時、できた曲だそうです。 私たちへの贈り物のように弾かれるのを聴いていたら、感動でいっぱいになりました。

ベースを読むことで楽譜に書ききれない作曲家の意図に気づく喜び、もっと言えば、音楽に携わる喜び、指導者としての喜びまで気づかせていただいた、素敵な講座でした。

Rep:森崎 一子

2019年10月25日

【セミナー実施レポート】フランスの音楽事情~フランス近代作品の演奏のコツ~

2019年10月21日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて中沖 玲子先生をお招きし、「フランスの音楽事情~フランス近代作品の演奏のコツ~」を開催いたしました。

2019年、10月21日(月)日響楽器池下ホールにて、パリ・エコールノルマル音楽院の教授を勤められ、フランス作曲家の作品にも精通されていらっしゃるピアニストの中沖玲子先生に、現在のフランスを取りまく音楽事情についてお話頂きました。
まずはじめに、中沖先生ご自身のエピソードから〝小さい頃からピアノに親しんでピアノを好きになる事が大事〟とお話し下さいました。フランスのピアニスト、ルイサダも〝小さい頃に教えてもらった先生に感謝している〟と話していたそうで、中沖先生もご自身の先生に感謝していると話されました。早期のピアノ教育としては、日本でもフランスでも、ピアノを好きにさせる事が大事というお話しをされた上で、フランスの音楽事情をとてもわかりやすくお話し下さいました。
『フランスの音楽事情について』
・フランスの入試、コンクールでは先生のコネクションは全くなく、試験でも外部から審査員を招いたりして、審査はとても平等である。
・学費がとても安い。パリ音楽院は無料。エコールノルマルでも日本の国公立大学の学費より安い。この点で日本と差がある。
・フランスではソルフェージュをとても重視している。フランスのレベルは高く、拍子、調性、小節数も知らされずに、いきなり弾かれた音を聴音する。調の判定も自分の耳で、和声や初見演奏も重視される。
・フランスは食べ物は見た目も綺麗で美味しく、誇りを持って作っている。フランスには今だに、中世のようなサロンがあり、食事をしながら音楽を楽しんでいる。
・演奏会ではチケットを手売りする事は無く、町で普通に生活している人が楽しみに演奏会に来る...
この点でも生活の中に音楽があると言える。
『フランス音楽について』
フランスの作曲家の中でドビュッシーの「ゴリウォークのケークウォーク」「花火」を取り上げ、実際に若手ピアニスト演奏をしてもらいながら、解説して頂きました。
【ゴリウォークのケークウォーク】
・子供の領分は、ドビュッシーの娘シュシュちゃんの為の絵本のような曲である。ケークウォークとは...ステッキを持ってつきながら踊るもので、ゆっくりめである。
・当時絶大な人気だったワーグナーに対して、敬意と皮肉が混ざっているフレーズがあるなど...
【花火】
・最後の部分にはフランスの国歌が使われている。
・出だしのところは、花火の始まる前のフランス人達のおしゃべりしていると様子。
・花火のテーマの部分の弾き方など...
また、フランス音楽の特徴としてパール奏法...真珠の粒のようにポルタートで弾く奏法が大事である事。アールヌーボーの影響を受けている事。フランスものは、客観的に弾く事。フランスのエスプリが大切である事など話されました。
最後に、「音楽をやっている人達が、音楽をやっていて良かったと思える世の中が来るといいと思います...」とおっしゃったお言葉がとても心に残りました。
同じように思います。
中沖先生、素敵なお話をありがとうございました。とても興味深くもっと聞いてみたいと思うセミナーでした。

Rep:林 公子

【セミナー実施レポート】2019年度 上半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第2回(全4回)流れるフレーズのための指導法

2019年5月20日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて鈴木 弘尚先生をお招きし、「2019年度 上半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第2回(全4回)流れるフレーズのための指導法」を開催いたしました。

音楽は、時間の芸術、記憶の芸術、イントネーションの芸術である。2つのフレーズがある場合、1つ目のフレーズを聴き手に記憶してもらうことで2つ目のフレーズが生きてくる。記憶してもらうには、イントネーションによって意味のあるものにし、聴き手に届ける事が大切。演奏は、絵画に例えると描いている時間を見せているようなもの。
このようなお話からセミナーは始まりました。
フレーズは『開始→中心→終わり』でできているが、もともとは平らなものが、リズム、音の高低、ハーモニーなどの要素が複数重なって引力が発生し様々な形となる。弾き手は、中心に向かっていく動き、中心を通り過ぎて終わりに向かう動きを大切にフレーズを演出する。聴き手は、フレーズの中心がどこにあるのか、そのフレーズが終わった時にわかる。なんとなくの感覚だけで演奏するのではなく、このような考えを裏付けする事で伝わる演奏になる。
そして、レッスンでもよく使われる曲を例に挙げ、演奏を交えながらお話しくださいました。
(演奏曲例)
○クレメンティ/ソナチネOp.36-3
○ショパン/ワルツOp.64-2 ・ノクターンOp.9-2、
○メンデルスゾーン/ベニスのゴンドラの歌、
○ブルグミュラー/ゴンドラの船頭歌・風の精・アラベスク・やさしい花・せきれい~etc.
音の流れを風に例えて、風は目に見えないけどそれに影響をうけるもの(木や葉っぱの揺れなど)により見えるものとなる。音楽においても風による気圧変化があって音が流れる。伴奏で風を送ることでメロディが動くことや、16分音符のような軽い音符は風によって動きやすいこと、フレーズの頂点に向かって風が吹き上げるイメージを持つこと。
また、弾いている自分にとってメロディーがどこにあるのか、常に位置関係を意識すること。1つのフレーズの中で音がどこから入ってどの方向に動くのかイメージすること。メロディーが表と裏が対になっている場合、裏を弾くときには先ほどの表を感じながら違った音色や響きを使うこと。これから弾くフレーズを、形、奥行きなど3次元でとらえて意識することが大切。
先生がおっしゃる内容は、自分の演奏のためにも生徒さんの演奏のためにも肝に命じておきたいことばかりでした。
そして、鈴木先生が奏でられるピアノの音は、大変美しく多彩で、その素晴らしいピアノからもお話しからも感動と多くの学びを頂きました。
鈴木先生、本当にありがとうございました。

Rep:赤松 佳容子

2019年4月30日

【セミナー実施レポート】2018年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第3回(全4回)和声の練習帖 -手の形で和声感を身につける-

2018年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第3回(全4回)和声の練習帖 -手の形で和声感を身につける-
西尾 洋

2018年11月26日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて西尾 洋先生をお招きし、「2018年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第3回(全4回)和声の練習帖 -手の形で和声感を身につける-」を開催いたしました。

2018年11月26日(月)日響楽器名古屋池下店2Fホールにて、名古屋支部2018年下半期指導法シリーズセミナー第3回に西尾洋先生をお招きし、「和声の練習帖」~手の形で和声感を身につける~ が開催されました。

西尾先生には昨年、「楽譜の向こう側」~独創的な演奏表現を目指して~と題された講座をして頂きました。楽譜の背後にある「意味」を探り出し学び取ることで説得力のある表現になり、さらに独創的な表現に繋がることを教えていただき、大変感銘を受けました。
そして今回の「和声の練習帖」では、和声学習を従来の「規則に従って課題を解いていく」方法ではなく、「正解を弾いて覚える」方法を用いた鍵盤和声への導入法やその展開を、具体的にご指導いただきました。

「和声の練習帖」はワークブックのように活用でき、各々のペースで和声の学習ができます。第1章では、和音をドミソ、レファラ、ミソシなど、音名で早く言えるようにすることから始めます。そして次に、短いカデンツをゆっくり弾きながら響きを聴き取り、記憶してから五線譜に再現する(一人聴音)までを習得して基礎練習とします。この基礎練習により手と耳で和声を覚え、ソプラノを修飾してメロディを作ったり、カデンツの移調奏、転調奏にと発展させていきます。
第2章では数字付低音として、バスから何度上に和音構成音があるかを数字で示して和音を作ることを示されました。これは音程の分かる生徒に簡単な課題から早速レッスンで取り入れてみましたが、ゲーム感覚でとても楽しくできてレッスンが盛り上がりました。
このように和音を集中して学習すると、和音の違いや各声部の流れを感じて和声感が身につき、横の流れを感じて旋律を生み出すことができます。そしてその後の章では、対位法の理解や通奏低音などの習得にまで繋げられる内容となっており、なんと合理的で理解し易い勉強法かと大変驚きました。また各作曲家の音楽を和声で考える内容は、今すぐ直結する課題として取り組めるものと思われます。

前回の講座で西尾先生は冒頭に「音と音の間に何が見えますか?」と問われ、楽譜の中にある表現の可能性をご指導いただきました。今回は「体験をきっかけとして驚きや喜びを感じてください。その直感の先に問いがあり理解があり、さらに豊かな世界が広がり、また新たな体験をすることができます。」とお話しされ、その体験の具体的な方法とその先の学びの可能性を教えていただきました。
この今までにない和声の取り組み方に、音楽を学ぶ子供たちに楽しく確実に和声感を身につけてほしいという西尾先生の深い愛情を感じ、自分自身がしっかりと習得して生徒たちに正しく伝えていかなければと心に強く命じました。
西尾先生、素晴らしい講座をありがとうございました。

Rep:ピティナ名古屋支部 野原眞由美

2019年4月12日

【セミナー実施レポート】2018年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第4回(全4回)舞曲へのアプローチ プレ・インヴェンションからフランス組曲まで

2019年2月4日(月)に日響楽器 池下店2Fホールにて田中 巳穂先生をお招きし、「2018年度 下半期ピアノ指導法 シリーズセミナー 第4回(全4回)舞曲へのアプローチ プレ・インヴェンションからフランス組曲まで」を開催いたしました。

当日は、雨上がりの爽やかなお天気にも恵まれ、会場には熱心な指導者が集まりました。

「始めに心が弾むのか、音が出るからから身体が弾むのか」と言う印象的な言葉から始まり、「バロックダンス、ファンタジー」というDVDを見せて頂きました。その華麗さと美しさから、最初からうっとりとした優雅な気分に浸りながらお話を聞きました。

・バロックダンスを踊っている人の目線はどうなっているか。
・音のないところの、動きはどうなっているか。
・古楽器の音は、どんな風に響くのか。(古楽器の音は、伸びない。)

など、とても興味深く、改めて華麗なダンスの背後には、華麗な音楽がある事を知りました。

次に、プレインベンションを使い、バロックダンスをひとつずつ取り上げて解説して下さいました。

ジグ、リゴドン、ポロネーズ、メヌエット、シュヴェ−ビッシュ、アングレース、ブレ、アントレ、ガボット、マーチ、バレエ、オールドジャーマン、ロンド、サラバンドなど...

沢山のダンスの特徴、どんなステップなのか、どこでどんな風に踊られたのか、どんな人が踊っていたのか等の説明があり、一曲ずつ楽譜を開いて、拍子、アーフタクト、アーティキュレーション、フレーズなど、丁寧に解説して下さいました。

最後のまとめでは、強弱に頼る事が様式に合わないバロックでは、重い軽い、長い短いが大切になること、音の伸びを感じて、左手で音楽を運んでいく事が大事だと、お話し下さいました。

コンペやステップに生徒が出ると、よく講評に「ダンスの感じを出せるといいね」と書いて頂く事があります。指導者が、ダンスの特徴を理解している事はとても大事だと感じました。また、様々なダンスを取り上げているプレインベンションを上手く活用して、フランス組曲に繋げていけたらと思いました。早速、日々のレッスンで活かしていけたら、と思います。
田中先生、素晴らしいセミナー、ありがとうございました。

Rep:林 公子

2018年6月13日

四期・時代別演奏法、指導法

2018年4月6日(金曜日)日響楽器2Fホールにて、黒田亜樹先生をお迎えしてのセミナー「四期・時代別演奏法、指導法」が開催されました。

多くの先生方の熱気が伝わるなか、講座が始まりました。
黒田先生の、分かりやすく切れ味豊かなお話と、爽快感のある演奏が相俟って素敵な時間を過ごすことができました。その中で数か月先のコンペを迎えるにあたり、指導者としての心得をお話しされました。例えば、コンペ課題曲と並行して、通常の曲も練習することが大切だと言われました。コンペ曲のみの練習に偏らず、幅広く楽譜を読んでいくことが、本当の意味で「音楽に強くなる」のだというお話が印象的でした。

具体的にコンペ曲をひいて下さり、その曲の要点や時代別の演奏方法を教えて下さいま した。
バロック期では、fとpの弾き方に変化を加えるときは指の面積を変える、トリルは色々な指で練習することが大切...などです。古典期では、拍頭を意識する、曲の形式を考える、音価と音の重さは比例する...などです。
ロマン期では、ペダルを踏むことにより演奏が広がりを見せ、その踏み方により音色に幅が生まれる、また手首の回転を加えることでも音色が変化する...などです。近現代期では、同じfでも作曲家によって演奏の仕方が異なる、和音進行にも注目し、音の色合いに結びつける...などです。

これらの内容は、他の時代にも共通する事柄が多くあります。ピアニスト側からの視点での演奏方法のお話もいただき、とても参考になりました。
私たち指導者は、子どもと日々向き合い、その成長を目の当たりにしてレッスンを行っています。子どもの練習過程の中で、その子ひとりひとりに合った練習メニューを提示し、子どもと一緒に曲を作りあげていく事が大切だと思いました。

2018年1月12日

【実施レポ】古典派へのアプローチ -正しい解釈と演奏法を学ぼう!-(石井なをみ先生)

2017年11月24日(金)名古屋市熱田小文化劇場にて、石井なをみ先生をお招きして、名古屋支部下半期指導法シリーズセミナー第3回「古典派へのアプローチ -正しい解釈と演奏法を学ぼう!-」が開催されました。

バロック同様に大切なジャンルでありピアノ学習の基礎となる古典派のソナチネ、ソナタを、「生徒に正しく分かり易く伝えるためには何をすべきであるか!またそれらを魅力的に演奏するにはどのようなことに留意するべきか!」など、石井先生のお話は演奏を交えての具体的で多岐に渡るものでした。

先生はザルツブルグ留学時代のご経験から、「ピアノ演奏は音にする前に、まず楽譜を読み込み、どんな音楽かを考えなくてはならない。形式、メロディ、モチーフ、リズム,拍子、テンポなど、あらゆる角度から分析し、知性で裏付けされた解釈でもって音楽を理解する。そしてその上で、様々なアイデアや感性を駆使して的確なタッチや音色を探り出していくという順序が重要である。」とおっしゃいました。これは初歩の子供にもとても大切なことであり、指導者は心しておかねばならないと強く感じました。

また古典派にふさわしい演奏という点においては、各々の作曲家の時代背景や鍵盤楽器の変遷により奏法に違いはあるものの、総体的には指先の感度が鋭敏であり、軸になる一定のテンポで拍子感や音程感を備えて、対称性や他の楽器をイメージして音色を作っていく等、様々な事柄を教えて頂きました。 また作曲家別においては、ハイドンはどこかにユーモアを持った深刻ではない音楽性、モーツァルトはピアノソナタ全てがオペラのように場面やキャラクターを想定すること、ベートーヴェンは彼の人生とその内在するエネルギーの推進力や、オーケストラの楽器を考えた表現をすることなどをお話しされました。

ともすれば、子供たちはロマン派や近現代の音楽を好んで弾きたがる傾向にあるようですが、古典派の音楽をいかに素晴らしくて魅力的なものであるかを伝えられるよう、石井先生に多くを学ばせて頂きました。今後も、正しい解釈と奏法の上に個性豊かな表現ができる子供たちを育てられるよう研鑽していきたいと思います。 石井先生、どうもありがとうございました。

Rep:野原 眞由美

2017年11月10日

【実施レポ】世界音楽事情第4回 ロシアピアニズムの魅力(奈良井巳城先生)

2017年9月25日(月)、日響楽器池下店2Fホールにて、奈良井巳城先生をお招きして、「世界音楽事情第4回 ロシアピアニズムの魅力」と題したセミナーが開催されました。

奈良井先生は、ロシアのモスクワ音楽院で研鑽を積まれた先生です。最初に、ロシアピアニズムの系譜、鍵盤楽器伝承の歴史と4大流派について。沢山の名だたる音楽家の顔写真を使って、裏話的な内容もはさみながら説明して下さいました。巨匠と言われるロシアの偉大なピアニストたち(リヒテル、ギレリス、ニコライエワ、アシュケナージなど)を遡っていくとリストにも繋がり、また、ジョン・フィールド、そしてクレメンティへとたどり着くということが、とても興味深かったです。

ピアノ演奏に必要なテクニックについても、ハノンやコルトーの練習曲を例に挙げながらお話しして下さいました。各指の独立、フレキシブルな親指、手首のしなやかさ、トレモロの時の腕の回転、関節をバネのように柔軟に使うことなど、時にはグッズも使いながら、理解しやすく伝えるための工夫も教えて頂き、すぐにレッスンで実践できる内容も沢山ありました。

そして、多彩な音色を作るための打鍵の仕組みについて、ピアノのメカニズムの図を見ながらわかりやすくお話し頂きました。タッチによって、ローラーやハンマージャック、ハンマーなどの動きが変わり、その事が倍音に影響して様々な音色となる。そしてその多彩な音色を作るセンスを磨くには、良い音色も良くない音色も沢山経験するのが大切ということも教えて頂きました。

それから、表現力豊かに仕上げるための工夫として、『言葉から学ぶフレーズ作り』のお話しもされました。 「おはよう」と「おにぎり」の"お"の発音を例に挙げられ、「おはよう」の"お"は、後にくる文字が柔らかい響き、「おにぎり」の"お"は、後にくる文字が固い響きであることから、同じ"お"でも発音が微妙に違う(調音結合)。このことと同じように考えて音楽のフレーズを作るという事が、とても心に残りました。

最後に、スクリャービンの詩曲Op.32-1の貴重な資料を見ながら、出版されている楽譜とスクリャービン自身の演奏(ピアノロールで記録したもの)を楽譜におこしたものとを弾き比べて違いを示してくださり、ルバートやアーティキュレーションの捉え方についてもお話し下さいました。先生のピアノの音はとても美しく、もっと聴いていたかったです。先生の語り口が自然で、あっと言う間に時間が過ぎていました。奈良井先生、盛り沢山の学びを頂き、本当にありがとうございました。

Rep:名古屋支部 赤松佳容子

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