西原 稔先生講座
『ベートーヴェンピアノソナタの楽譜から、当時の楽器の性能を含めて
作品とピアノの関係を探ってみよう』
2015/10/23(金)国立音大A.I.スタジオ 10:30~12:30
主催 ピティナ国立支部
19世紀音楽史のご専門で桐朋学園大学教授の西原先生をお招きして、支部主催の
勉強会を行いました。ピアノのテクニックやレッスン方法以外の講座は久しぶりでした。
学生時代に戻ったようで、新鮮な気分と知的刺激に満ちた講座となりました。
配られた資料を読むだけでも面白く、貴重な情報に満ちていましたが、お話の内容が
また愉快でした。「ヘーエ」「そうなんだ」「エーッッ」と、はじめて耳にする話や、
知ってはいても意味合いがはじめて理解できた話などもあり、「勉強する」ことの
楽しさを堪能しました。
講座途中で何と、古いラジカセが動かなくなり、暫くしてまた動き出すハプニングが
あり、「ベートーヴェンと同じで気まぐれですね}などと冗談を飛ばしながら何枚もの
CDを早送りしながらポイントを要領よく説明して下さいました。中には非常に珍しい
19世紀初期、ウィーンのシュトライヒャー製作のオリジナル楽器による演奏があり、
当時の楽器と現在の楽器との違いを実感しました。
音域の狭さが初期のソナタの作曲に与えた影響。それが数年ごとに製作者の努力に
よって少しずつ広がっていく度に、ベートーヴェンが喜んでその鍵盤を使いまくる様が
楽譜にまざまざと記されていること。ペダルについては、当時の楽器に何種類もの弱音
ペダルがあったこと、ダンパーペダルを使っても音の持続時間がかなり短かったこと、
等々は現在のピアノで演奏する際の楽譜の読み方を大きく左右するので、ピアノ教師に
とって不可欠の知識ですね。
西原先生、支部企画委員の皆様、ありがとうございました。
広報委員代理 萬 喜子