毎年夏休みに恒例となっている音の葉研究会主催の親子講座。
今年は素晴らしいホールで開催することが出来ました。
コンペは予選真っ最中の時期でしたが、頭・耳・心に残る貴重な経験になったのではないでしょうか。
◆場所:さいたま芸術劇場 音楽ホール
◆日時:2015年7月4日(土)
◇ 第1部13:00~13:50 作曲家によるお話 講師:西尾 洋先生
「伴奏は魔法使い」~伴奏付けの極意を学ぼう
アナリーゼできるようになりたかったら作曲をすることが一番の近道です。
と、西尾先生は音の葉研究会の定期講座でよく口になさいます。
今回の親子講座では【伴奏】にクローズアップ。
「伴奏の役割ってなんだろう?」
西尾先生は1枚の写真に例えました。
写っている人が主役→メロディ/背景→伴奏
こんなところへ行ってみたいなぁ・・・と想像できるのは写真の中の人物の奥の景色でしょう。
伴奏はそんな空間をつくる大切な役割なんだという意識をもって、それでは実際の曲では何をどうすれば素敵になるのか一緒に考えていきます。
シューマン作曲の子供の情景より三曲の例が挙げられました。
何度も出てくる同じメロディ(テーマ)に対して、伴奏はどうなっているでしょう?
ここが変わったね!
ここは同じだね!
テーマのリズムが使われてるよ!
グンと下がって低い音になったね!
同じところは気分を変えてみよう。
違うところは違いをどうやって表現しようか。
・・・いつもは用意した楽譜に書かれた音を再現するだけかもしれない伴奏にここまで着目すると、今までとは違うものが見えてきて演奏したときの聴きかたが変わるのではないでしょうか。
楽譜に書かれていることは本当に極々僅かで、そこから何を読み取ってどのように自分の音楽を創り上げるかが面白い作業なのだということが参加された生徒さんもご家族の方も実感されたのではないかと思います。
最後に、会場の方も皆がよく知っている《虹のかなたに》にオリジナルの伴奏付けをするワークを行いました。
ノーベル賞をとるような大発見は、何か分量を間違えちゃった!とか失敗した中から起こることも多いのだとか。
伴奏付けも、不正解を恐れずにいくつも試してみながら遊んでみましょう。
弦楽アンサンブルやジャズピアノ、サックスなど様々なアレンジの演奏を聴いて締め括られました。
◇ 第2部14:00~14:50 ピティナ課題曲公開レッスン 講師:関本 昌平先生
・B級 小林 奏 さん テレマン/アレグロホ短調 ヴィクトル/子ヤギ
・C級 御園 桃子 さん ダカン/かっこう ギロック/ダイアナの泉、魔女の猫
・連弾初級 Ⅰ小林 りら さん Ⅱ松原 はるな さん グレチャニノフ/舞踏会の後で、牧草地
ご自身も小学4年生からほぼ毎年PTNAコンペを受けてこられたという関本先生。
3月の課題曲発表から始まり、それぞれ違った時代の作品にふれられて夏までかけて4曲を深めながら勉強できることがよかったと振り返っていらっしゃいました。
コンペ期間中の一日のスケジュールも細かく教えて下さいましたが、ポイントはコンペの曲を練習することはもちろんですがそれと同時に色んな曲を早く仕上げる練習も大事とのこと。(B級を受けていた頃にはショパンのエチュードなど有名な曲を次々ひくことで初見力をつけられたそうです。)
スケール等の基礎練習と練習曲とバッハと・・・・と、時間帯ごとにやるべきことを決めて取り組まれたそうですが、何より驚きなのは、コンペの曲を弾いている時間の方がその他の練習時間より短い!ということ。
コンペは1日にしてならず。
結果に結びつく演奏には、やはり土台が肝心!ということでしょう。
レッスン受講生は、
聴く人をひきつけるテンポの揺らし方、
ホールの広さを意識した強弱の幅、
音の立ち上がり、
タッチの対比、など 関本先生からの魅力アップエッセンスを受けるとたちまち輝きを増した演奏に。
的確なアドバイスに対して早いレスポンス、どんどん発展していく様子を目の当たりにして、受講生の普段からの並々ならぬ努力に拍手を送りたいと思いました。
レポートが遅くなってしまい今年のコンペは既に終了しましたが、今頃は皆さんきっと新たな目標を持ってピアノに向かわれていることと思います。
またどこかで演奏聴かせていただける日を楽しみに陰ながら応援しています。
◇ 第3部15:00~16:00 名曲コンサート 演奏:関本昌平先生
・ショパン/ポロネーズ第6番「英雄」
・ショパン/ワルツ第6番「子犬」
・ショパン/ワルツ第7番 Op.64-2
・ベートーヴェン/ピアノソナタ第14番「月光」
・ショパン/24の前奏曲Op.28より抜粋「雨だれ」など
・ショパン/スケルツォ第2番 Op.31
作曲家のお話とピアニストによるレッスンとコンサートという盛りだくさんな内容を素晴らしいホールで受講できる贅沢な時間でした。
西尾先生、関本先生、この企画を残して下さった永瀬まゆみ先生、ありがとうございました!
<文責:須藤 美帆>