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富山新川ステップ開催レポート(11/11/06)

20度を越える11月はめずらしい。2011年11月6日、入善コスモホール。4回目のステップ開催となりました。あいにくの雨でしたが、123組の出演者をお迎えできました。スタインウェイのフルコンサートとベーゼンドルファーのインペリアルの両方があり、残響の長さと豊かさを誇るのが入善コスモホールです。一年ごとに楽器を交代させていて、今年はスタインウェイが登場しました。継続表彰者は26名。継続表彰者を含め、常連のお名前がプログラムに並ぶようになりました。ジュニアのみなさんが年々成長していくのが分かり、4回のステップをはさむ年月について思いを深くしました。
 アドバイザーは黒川浩先生、児玉陽子先生、笹山美由紀先生、平田博通先生。チーフの平田先生を中心に、終始和やかにアドバイスが行われました。それぞれの先生方のお人柄と音楽性、そして教育に対する熱意あふれるアドバイスをいただき、出演者のみなさんの励みになったことでしょう。2部ごとの講評では、出演者のみなさんが美しい音を出そうとしていると褒めていただきました。少々おとなしめの富山人ですから、ホールのすみずみまで届くように、楽器をめいっぱい鳴らしてくださいと講評されることが多いので、とても嬉しいことでした。ゆっくり弾くこと、そして小さな音を出すこと、その勇気を持って下さい、とのお話が印象的でした。より速く、より強く、より大きく。そうではない音の素晴らしさをコスモホールで体験していただけたでしょうか。
 笹山先生のワンポイント・レッスンは、黒坂涼さん、ベートーヴェンのソナチネヘ長調の第1楽章でした。ソナチネって何?テーマはどうなってる?この和音の役割は?どこにたどり着いた?笹山先生の分かりやすい解説と語りかけで、ソナチネの見え方が変わりましたね。自分がどう弾きたいのかをはっきりさせ、それを助けるために、曲にお話をつけたり行き先を設定するとのことでした。レッスン終了後、舞台袖で笹山先生から黒坂さんにプレゼントがありました。美しく色をつけた楽譜です。楽譜を色分けして、テーマがどこにあるか、どのように展開しているか、いつ戻るのか、一目瞭然の楽譜。笹山先生、ありがとうございました。
 黒川先生のトーク・コンサートを聴かれた方は、温かなやさしい気持ちになってお帰りになったのではないでしょうか。ブルグミュラー、子供達にお馴染みの曲がこんなにチャーミングに。モーツァルトのソナタは恋のなりゆきが台本です。まさにオペラでした。ショパンの新練習曲集から第3番、ラヴェルのプレリュード、リストのコンソレーション、いずれも滋味あふれる演奏。黒川先生は3月の震災の日、羽田空港で一夜を過ごしたそうです。その後鳥取のステップでアドバイスをされてから、ようやく震災の惨状を知ることになりました。
あれから8ヶ月。バッハの平均律第1巻からesmollのプレリュード、イタリア協奏曲から第2楽章。黒川先生の祈りの曲でした。黒川先生のお話は理知的なんですけど、情感ゆたかでやさしさにあふれています。少々ペシミスティックなところもあり、詩人か旅人かと思わせたり。ピアニストの脳の秘密も教えてくれました。黒川先生のお話は、著書『はるかな星をめざして 芸術が僕にくれたもの』フェリス女学院大学、で読むことができます。ピアノを習ってなかった少年時代、ナチスとフランクル、ドイツのシュヌア先生のこと、芸術家とは、個性とは等々。星の王子様みたいな表紙です。黒川先生のエッセイもぜひ読んでみてくださいね。
 ステップ初挑戦は34組。いかがでしたか。楽しい日曜日になりましたか。今年は、グランミューズと中高生が目立っていたのが嬉しかったです。7、8部の出演者の演奏はそれぞれ立派なものでした。真摯な演奏に感動したという声を多く聞きました。私はスタッフとしてみなさまの演奏を聴きながら、おひとりおひとりの人生でピアノはどんなふうに関わってきたのだろう、と想像するようになりました。当日は総勢17名のスタッフで運営しました。スタッフ全員より。出演者のみなさま、アドバイザーの先生方、ありがとうございました。また来年もにいかわステップでお会いできますように。


1部、2部

3部、4部

5部、6部

7部、8部
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