ご挨拶
音楽、そしてピアノに関わる仕事について30年以上になります。その間、保護者の方々からお子様について「ピアニストになるわけではないから」という言葉を何百回と耳にしてきました。もちろん他意はないと思われ現実としてその通りなのですが、いわゆる受験で必須とされる教科 に比べて音楽が軽んじられているのではなかろうか?とやっかみを感じながらもその大切さを分かり易い言葉で伝えることがずっとできませんでした。
そんな時、ピティナでも大活躍の石井なをみ先生がピアノ指導法講座の最後におっしゃったお話が印象に残り腑に落ちましたのでここにご紹介させていただきます。
「ISなどが少年兵を育てるとき、『歌わせない』『踊らせない』『絵を描かせない』を徹底させるそうです。そのほうが引鉄を引くことに躊躇しない殺人鬼に育てやすいから。また、アメリカのとある治安の悪い街にゴスペルの合唱団が発足したところ、犯罪率が著しく減少したという事例があります。何を申し上げたいかというと、音楽に携わる私たち指導者は単に"習い事の先生"というだけでなく、不幸な人を作らないために必要不可欠な社会的役割の一端を担っているという自覚と誇りを持っていいのです。ピアノを教える、習うということはそれほど尊い事だと思います」
"表現する"という概念がないと、人はミッションに忠実に従うマシーンになってしまうようです。また、音楽は創る人だけではなく、聴衆があり、そこに共有するものが発生して初めて成立します。ということは、常に相手の立場に立った思考が必要になるという事。さらに、ステージで拍手をいただくことで自分が社会から見放されていないことを実感でき自暴自棄にならずに済み、良識を身につけることができると思われます。他にも音楽の楽しみや恩恵を数え上げたらきりがないほどあると思いますが、たとえピアニストを目指さなくても、決して疎かにしていいわけではないことがよく解りました。
この度は、富山2月地区のステップにご出演、ご来場いただきありがとうございます。お愉しみと一緒に、何か一つでも英気につながる良い刺激をお持ち帰りいただければ幸いです。
富山支部 事務局 吉田
(当日のプログラムより)
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